研究課題/領域番号 |
25860662
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
林 宏紀 日本医科大学, 医学部, 助教 (70516096)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / バイオマーカー / サブグループ / 併存症 |
研究実績の概要 |
①日本医科大学呼吸ケアクリニックに通院したCOPD患者(現在も継続して収集)を対象に、合併症として慢性心不全、糖尿病、脂質異常症、慢性腎不全、貧血、間質性肺炎(間質性変化)を挙げ、それぞれ心臓超音波、血清HbA1c、総コレステロール・中性脂肪、クレアチニンクリアランス、ヘモグロビン、KL-6、胸部CT、呼吸機能検査、6分間歩行距離を用いて多角的に評価を行った。 ②ヨーロッパでは医療分野およびバイオ関連で高い評価を受けているViscoveryソフトを購入。同ソフトは視覚的にサブグループを認識できるものである。このソフトを用いて合併症の有無、定量的評価(HbA1c、KL-6、胸部CTデータなど)を含めてクラスタ-解析を行い、サブグループを同定。 ③各症例の血清で、サブグループ特異的バイオマーカーの検索を行っている。当該年度には血清ホモシステインの測定を行った。ホモシステインは動脈硬化や血栓形成のリスクとされ、心血管疾患の危険因子となりうることが報告されている。血清ホモシステインと上記②で同定したサブグループとの関連性を調べたが、サブグループを規定する因子とはなりえなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合併書や各パラメーターを基にViscoveryソフトを用いてサブグループを同定。動脈血栓症や動脈硬化の病態に関与がいわれているホモシステイン値では、今回のCOPDにおけるサブグループと関連する結果は得られなかった。 その上で現在は、血管拡張作用を有するペプチドであるadrenomedullin、、白血球などの遊走を引き起こし、COPDにおける慢性炎症を起こしていると推測されるケモカインを複数測定する予定である。その準備は整っており、研究期間内に遂行できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ホモシステインに加えて、COPDとの関連が予測される複数の蛋白(TNF-α, IL-6, TNFRSF9, FGF23など)についてELISAなどにより血清濃度を測定、またCOPDにおける慢性気道炎症に寄与している可能性があるケモカインを網羅的に検討する予定である。これら複数のマーカーにより、サブグループを規定し、また呼吸機能、重症度やQOL・増悪頻度とったアウトカムを予測しうるか検討を行う。 現状では、COPDの診断・治療は呼吸機能の結果に基づいて、画一的な治療が行われる傾向にあるが、今回の研究で、病態に特化したバイオマーカーを特定し得れば、同バイオマーカーに基づいた治療が為し得る可能性があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホモシステインに加えて、COPDとの関連が予測される複数の蛋白(TNF-α, IL-6, TNFRSF9, FGF23など)についてELISAなどにより血清濃度を測定、またCOPDにおける慢性気道炎症に寄与している可能性があるケモカインを網羅的に検討する予定であったが、十分な症例数の確保のために次年度測定するほうが必要な情報が得られると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
サブグループの同定には至っており、上記の如く、各サブグループを規定し、また病勢を反映しうる複数のケモカイン(CCL2、CCL3、CCL4、等)、蛋白(TNF-α, IL-6, TNFRSF9, FGF23など)を測定する予定である。
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