研究課題
若手研究(B)
【背景】細胞外マトリックス蛋白であるペリオスチンの血清値がIPFのスクリーニングマーカーであり、呼吸機能の低下と相関することを報告した(ERJ 2011)。【目的】血清ペリオスチン値についてさらに解析を行い、長期予後規定因子としての役割、胸部高分解能CTの異常陰影の範囲 (HRCTスコア)との関連を解析した。【方法】長期間(最長5年間、平均約960日間)の観察あるいはHRCTの評価を行ったIPF 29例を対象として、overall survival (OS)、time-to-event(TTE)の規定因子、HRCTスコアなどの臨床データのベースライン値と6か月間の変化率との相関の解析を行った。HRCTスコアは、線維化スコア(牽引性気管支拡張像[TBE]を有する異常影、網状影、蜂巣肺の面積(%)の総和)、炎症スコア(TBEを有さない異常影の面積(%)の総和)、3段階のTBEグレードを設定した。TTEのイベントは、死亡、10%以上のVC低下、急性増悪とした。【成績】血清ペリオスチン値は、6か月間の肺活量 (P=0.0009)、肺拡散能 (P=0.006)の低下率、蜂巣肺 (P=0.0484)、TBEグレード (P=0.0659)と有意な相関あるいはその傾向があった。TTEの独立規定因子は、OSがベースラインの血清ペリオスチン値、肺活量、拡散能のベースライン値と6か月間の低下率、ベースラインのHRCTスコア (トータルと線維化スコア)、TTEがベースラインの血清ペリオスチン値と肺活量、拡散能であった。【結論】ペリオスチンは、呼吸機能の低下、線維化病変拡大および長期予後の予測マーカーである可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
既に間質性肺炎の新規バイオマーカーとして報告したペリオスチンについては、臨床検体の解析により、バイオマーカーとしての今までにはない性能を証明し、順調に進んでいる。また、可溶化IL-18レセプター受容体複合体などのペリオスチン以外のバイオマーカーは解析中であり、今後の研究で明らかにしていきたい。
可溶化IL-18受容体複合体、L-18、TRX1などの間質性肺炎の新規バイオマーカーの網羅的解析をさらに進めていく。
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