研究の背景、目的:間質性肺炎、薬剤性肺障害で簡便に測定できる血清バイオマーカーとして、KL-6、SP-D、SP-Aがあるが、エビデンスは十分ではない。我々は、細胞外マトリックス蛋白であるぺリオスチン、炎症性サイトカインであるIL-18など、間質性肺炎、薬剤性肺障害の新たな血清バイオマーカーと成り得る蛋白を報告した。本研究目的は、間質性肺炎、薬剤性肺障害の新規の血清バイオマーカーの開発である。
研究成果:我々は、ぺリオスチンが特発性間質性肺炎の新規で実用性の高い血清バイオマーカーであることを証明し、英文発表した。具体的には、①ぺリオスチンは、間質性肺炎のongoingな線維化病変に組織学的に発現増加していること、②特発性間質性肺炎の診断マーカーとして高い感度を有することをROC解析で証明、③間質性肺炎の呼吸機能の低下や胸部CT上の異常陰影の範囲の拡大との強い相関を示すバイオマーカーであること、④約5年間の長期予後規定因子であることを証明した。
結論、考察:ぺリオスチンは、特発性間質性肺炎の診断、病状悪化、予後の予測に有用なバイオマーカーである。ぺリオスチンは、新規治療薬の登場で「オーダーメイド医療」の重要性が増している特発性間質性肺炎のコンパニオン診断薬となり得る。
|