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2015 年度 実績報告書

肺線維症診断における気管支肺胞洗浄液の電子顕微鏡下粉じん解析の有用性

研究課題

研究課題/領域番号 25860664
研究機関産業医科大学

研究代表者

城戸 貴志  産業医科大学, 医学部, 講師 (30389465)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードびまん性肺疾患患者 / 間質性肺炎 / 電子顕微鏡 / 粉塵 / 石綿 / 職業性呼吸器疾患
研究実績の概要

107人のびまん性肺疾患患者において、診断のために施行した気管支肺胞洗浄液(BALF)の1部を用いて電子顕微鏡下に、石綿小体(ABs)、石綿繊維(AFs)、その他の繊維状物質や粒子状物質の構成成分を検出した。また、外科的に肺組織が得られた8人の患者の肺組織中のABsとBALFの所見の比較も行った。
107人のうち、職業性粉じん曝露歴陽性群は48人、陰性群は59人であった。電子顕微鏡下の粉じん解析では石綿繊維は職業性粉じん曝露歴陽性群からのみ11人に検出され、陰性群からは検出されなかった。光学顕微鏡では、この11人のうち、4人からのみ検出された。また、外科的に肺組織が得られた8人の患者の肺組織では、ABsは 3人の患者で1,000 本/g 以上は3人で光学顕微鏡で検出されたが、この3人においてはBALFを用いた電子顕微鏡による解析でもAFsは1000本/ml以上検出され、 相関していた(rS=0.913, p<0.01)が、BALFを用いた光学顕微鏡による石綿小体の検出では相関は得られなかった (rS=0.514)。また、職業性曝露群と非職業性曝露群の粒子状物質の構成成分の比較では、鉄とリンが職業性曝露群で有意に上昇していた。多変量解析においても鉄の上昇は職業性曝露歴は関連していた。リンの上昇も同様に多変量解析においても職業性曝露歴と関連していた。
以上より、BALFの電子顕微鏡による粉じん解析は、石綿の検出においては光学顕微鏡に比べて優れていることが示唆された。また、外科的に得られた肺組織の石綿小体定量と比べても同程度の感度であることが示された。構成成分の検出においては、粒子状物質の鉄とリンの検出が職業性曝露群で上昇しており、石綿繊維検出だけでなく、その構成成分の検出も職業性曝露の粉じん指標や職業関連肺疾患の診断に有用である可能性が示唆された。
なお、上記の概要はすでに国内海外の学会で発表し、また論文投稿中の状態である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] びまん性肺疾患における気管支肺胞洗浄液を用いた電子顕微鏡下粉じん解析の有用性の検討2016

    • 著者名/発表者名
      城戸貴志
    • 学会等名
      第56回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      国立京都国際会館・京都
    • 年月日
      2016-04-09
  • [学会発表] BAL液を用いた電子顕微鏡下粉じん解析の有用性2016

    • 著者名/発表者名
      城戸貴志
    • 学会等名
      第8回九州肺がん胸膜中皮腫研究会
    • 発表場所
      産業医科大学・北九州
    • 年月日
      2016-03-24
  • [学会発表] びまん性肺疾患における気管支肺胞洗浄液の電子顕微鏡下粉じん解析の有用性の検討2015

    • 著者名/発表者名
      城戸貴志、森本泰夫、石本裕士、小田桂士、矢寺和博、迎寛
    • 学会等名
      平成27年度 第2回びまん班班会議総会
    • 発表場所
      東邦大学医学部本館・東京
    • 年月日
      2015-12-12
  • [学会発表] Assessment of mineral fibers and particles in BALF in patients with interstitial lung diseases using electron microscopy.2015

    • 著者名/発表者名
      Takashi Kido, Yasuo Morimoto, Hiroshi Ishimoto, Takaaki Ogoshi, Chinatsu Nishida, Kei Yamasaki, Toshinori Kawanami, Yukiko Kawanami, Kazuhiro Yatera and Hiroshi Mukae.
    • 学会等名
      CHEST 2015
    • 発表場所
      Montreal, Canada
    • 年月日
      2015-10-28
  • [学会発表] 間質性肺炎の診断におけるBALFの電子顕微鏡下粉じん解析の有用性の検討2015

    • 著者名/発表者名
      城戸 貴志、森本泰夫、石本裕士、生越貴明、西田千夏、山崎啓、川波敏則、川波由紀子、矢寺和博、迎寛
    • 学会等名
      第91回間質性肺炎研究会
    • 発表場所
      アステラス製薬株式会社本社・東京
    • 年月日
      2015-06-19

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公開日: 2017-01-06  

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