腹膜炎は腹膜透析離脱を引き起こす重大な合併症である。本研究では、ザイモザンによるラット真菌性腹膜炎モデルに対して脂肪由来幹細胞(ASC)を投与し、その効果を補体の活性制御に焦点をあてて解析した。真菌性腹膜炎は、ラットの右側腹膜を機械的に擦過の後、ザイモザンを投与して作製した。ASCは腹腔内へ連日投与した。結果、ASC投与群で腹膜組織障害が軽減された。腹膜中皮細胞は補体制御因子を有しており、ASC投与で中皮細胞の再生が促進されたことが一つの機序として考えられた。ASCと中皮細胞の干渉には、肝細胞増殖因子を軸としたASCのパラクライン作用が関連していることがinvitroの実験で証明された。
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