本研究ではミトコンドリア機能と血管新生の制御に関与するestrogen-related receptor-α(ERR-α)を標的とした糖尿病性腎症の治療について検討した。1型糖尿病モデルマウスにおいて、糸球体内にポドサイトでのERR-α発現増加が認められた。培養ポドサイトへのERR-α拮抗薬の投与は、高糖濃度によるVEGF発現の増加を抑制した。ERR-αノックアウトマウスを用いた1型糖尿病モデルでは尿蛋白の抑制効果が認められなかったが、ERR-α拮抗作用を持つkaempferolは8週での尿蛋白の抑制効果を示した。これらの結果から、ERR-αの糖尿病性腎症の進展への関与が示唆された。
|