研究課題/領域番号 |
25860686
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
米澤 正 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (50469988)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / リポソーム |
研究概要 |
本研究はDDS技術を駆使することによって、疾患腎の『尿細管・間質領域』へ薬物を送達することによって、腎疾患進展スピードを抑え、患者QOLの改善に寄与することを目的とする。以下に具体的な研究項目と遂行状況をを以下に挙げた。 I. 『尿細管・間質領域』に特異的に集積するペプチドを決定する。本研究では糖尿病性腎症疾患腎の尿細管・間質領域への薬物送達を目標としているため、現在糖尿病モデルラットの病態進展を観察している。腎への影響が顕著に現れた時点での集積ペプチド探索を行う。II. 糖尿病性腎症尿細管部位で発現が増加するRAGEに対して、特異的に結合するペプチドの決定。腎尿細管上皮細胞に対するAGEの作用に関する検討し、細胞応答を確認した。現在詳細の解析を行っている。III.各種腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製と指向性の評価。本研究では糖尿病性腎症疾患腎の尿細管・間質領域への薬物送達を目標の第一段階としている。尿細管・間質領域への送達への可能性を検討するため、ネフローゼモデルラットに対して、線維化部位への指向性が認められたペプチドの尿細管・間質領域の線維化部位に対する集積を検討し、有意な集積を見出した。またIの予備検討として、ネフローゼモデルラットの尿細管・間質領域に集積するペプチドを明らかにするため、ファージディスプレイペプチドライブラリー法を用いた検討を行っている。IV. ステロイド剤内封腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製とその治療効果の評価。ステロイドを内封したリポソームの創製に取り組んでいる。HPLCによるステロイド定量の系を確立し、封入には成功している。ステロイド封入率・血中滞留性の向上など多様な改良を加えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に組み立てた各研究項目に対して、すべてにおいて確実に前進しているため、概ね順調に進行していると考えられる。I. 『尿細管・間質領域』に特異的に集積するペプチドを決定する。本項目に関しては、糖尿病モデルラットにおいて腎まで症状が広がるのに時間がかかっている状況である。II. 糖尿病性腎症尿細管部位で発現が増加するRAGEに対して、特異的に結合するペプチドの決定。本項目では培養細胞を用いてAGEによって引き起こされるある細胞応答を見出した。III.各種腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製と指向性の評価では、ファージディスプレイペプチドライブラリー法によるペプチド解析を実行した。IV. ステロイド剤内封腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製とその治療効果の評価においては、ステロイドの内封まで到達しているため応用段階まで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
現在はI(『尿細管・間質領域』に特異的に集積するペプチドを決定する)における、糖尿病性腎症モデルラットの病態観察が計画進行における律速段階となっている。病態進展の観察結果により糖尿病性腎症疾患腎への集積ペプチド探索・解析が進行すれば、III(尿細管・間質領域指向性に関する評価)、IV(ステロイド内封封腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製とその治療効果の評価)の予備実験の結果を踏まえ、糖尿病性腎症の進展抑制に関して、大きな滞りなく新たな知見を見出せると考えている。 II(RAGEに対して、特異的に結合するペプチドの決定)に関しては、コンピューターシュミレーションによって、RAGEに対して構造生物学的に親和性の高いペプチドを数候補ピックアップし、現在解析中の細胞応答に対する影響に関して検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
参加予定にしていた学会があったが、実験スケジュールの関係上参加を見送ったため旅費の申請金額相当が次年度使用額として生じた。 最新の知見を身につけるため、次年度の学会参加の旅費に使用する予定である。
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