本研究はDDS技術により、糖尿病性腎症腎の『尿細管・間質領域』へ薬物を送達することによって、腎疾患進展スピードを抑え、患者QOLの改善に寄与することを目的とするものである。 Ⅰ.『尿細管・間質領域』に特異的に集積するペプチドを決定する。この課題においては糖尿病モデルラットに対して、ファージディスプレイペプチドライブラリー法によるインビボバイオパニングを実施し、腎内の『尿細管・間質領域』と糸球体を分離することによってそれぞれに特異的に集積するペプチドを回収した。Ⅱ.糖尿病性腎症尿細管部位で発現が増加するRAGEに対して、特異的に結合するペプチドに関する検討では、インビトロにおいてRAGEタンパクとペプチドライブラリーによるパニングを実施・検討中である。Ⅲ.各種腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作成と指向性の評価においては、半月体性糸球体腎炎モデルを用いて、線維化部位への指向性が認められたペプチドの尿細管・間質領域への集積を検討し、有意な集積を見出し、学会発表をおこなった。Ⅳ.ステロイド剤内封腎尿細管・間質領域指向性リポソームの作製とその治療効果の評価においては、ステロイド内封リポソーム投与あるいはステロイド単独投与による治療効果の比較を、半月体性糸球体腎炎モデルにて実施した。
|