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2014 年度 実施状況報告書

転写因子KLF4によるポドサイトのエピジェネティック調節機構の検討と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 25860687
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

林 香  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60445294)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード慢性腎臓病 / KLF4 / エピジェネテイック
研究実績の概要

(背景・これまでの実績)我々は昨年、ポドサイトにおいて転写因子KLF4を介したエピゲノム調節によりポドサイト形質が制御されていることを報告した(JCI 2014)。今年度は、当初の研究実施計画書では、糖尿病性モデル、アドリアマイシン(ADM)腎症モデルにおけるKLF4遺伝子導入による効果を検討する予定であったが、昨年度までに実施し報告することができたため、当初KLF4に着目するきっかけとなったレニンアンジオテンシン系抑制とKLF4との関連、エピジェネティックな変化について検討した。(方法・結果)マウスのアドリアマイシン腎症に対してACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を投与すると、尿アルブミンの改善と共にKLF4発現の回復、ネフリンプロモーター領域メチル化の低下を認め、ポドサイト特異的KLF4ノックアウトマウスにおいてはARB投与によるこれらの効果は減弱していた。ヒト培養ポドサイトにアンジオテンシンII(AngII)を添加すると時間・用量依存性にKLF4発現減少を認め、ARB同時添加によりKLF4減少は抑制され、更に2週間のAngII添加下ではネフリンプロモーター領域の有意なメチル化亢進を認めた。またヒト腎生検検体においてマイクロダイセクション法により得た糸球体サンプルを用いて、ネフリンプロモーター領域メチル化状態を検討し、KLF4発現、RAS抑制薬使用との関連についても検討した。(結論)RAS抑制薬は一部KLF4を介してポドサイトのエピゲノム調節に関与し尿蛋白抑制作用を発揮する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

遺伝子改変動物の繁殖がスムーズに行えたことにより、前倒しで研究計画を実施することが出来、昨年度までに、今年度の計画をほぼ実施することが出来たため、当初の計画以上に進展することが出来た。

今後の研究の推進方策

当初の計画以上に研究を実施できているため、本年度は更にレニンアンジオテンシン系と、高血圧・腎臓病等の疾患との関連に関して、どのようなエピジェネテイックな分子機序が作用しているのかを具体的に解明していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。

次年度使用額の使用計画

次年度の消耗品費に加えて使用させて頂きたいと考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Transcription factors and epigenetic modulation – its therapeutic implication in chronic kidney disease (CKD)2015

    • 著者名/発表者名
      Kaori Hayashi, Hiroshi Itoh
    • 雑誌名

      Arch Immunol Ther Exp

      巻: 63(3) ページ: 193-196

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポドサイトにおけるエピジェネティック調節2015

    • 著者名/発表者名
      林 香、伊藤 裕
    • 雑誌名

      腎と透析

      巻: 3月号 ページ: 369-372

  • [雑誌論文] KLF4-dependent epigenetic remodeling modulates podocyte phenotype and attenuates proteinuria2014

    • 著者名/発表者名
      Kaori Hayashi, Hiroyuki Sasamura, Mari Nakamura, Tatsuhiko Azegami, Hideyo Oguchi, Yusuke Sakamaki, Hiroshi Itoh
    • 雑誌名

      J Clin Invest

      巻: 124 (6) ページ: 2523-2537

    • DOI

      10.1172/JCI69557

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Renal arteriolar injury by salt intake causes ‘Salt Memory’ for the development of hypertension.2014

    • 著者名/発表者名
      Hideyo Oguchi, Hiroyuki Sasamura, Kazunobu Shinoda, Shinya Morita, Hidaka Kono, Ken Nakagawa, Kimiko Ishiguro, Kaori Hayashi, Mari Nakamura, Tatsuhiko Azegami, Mototsugu Oya, Hiroshi Itoh.
    • 雑誌名

      Hypertension

      巻: 64(4) ページ: 784-791

    • DOI

      10.1161/HYPERTENSIONAHA.113.02973

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 山中因子KLF4による糸球体上皮細胞遺伝子のエピジェネティック調節2014

    • 著者名/発表者名
      林 香、篠村裕之、伊藤裕
    • 雑誌名

      Annual Review腎臓2014年

      巻: 2014年 ページ: 117-122

  • [学会発表] アンジオテンシン受容体拮抗薬による腎糸球体ポドサイトのエピジェネティック調節効果の検討2015

    • 著者名/発表者名
      林 香、篠村裕之、中村真理、畔上達彦、小口英世、坂巻裕介、徳山博文、脇野修、 林晃一、伊藤裕
    • 学会等名
      第20回アンジオテンシンカンファレンス
    • 発表場所
      都市センターホテル(東京)
    • 年月日
      2015-02-07
  • [学会発表] KLF4とKLF15は相補的にポドサイト形質維持に関与する2014

    • 著者名/発表者名
      林 香、篠村裕之、中村真理、畔上達彦、小口英世、伊藤裕
    • 学会等名
      第57回日本腎臓学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-07-04
  • [学会発表] 山中因子KLF4による糸球体上皮細胞の上皮・間葉系マーカー遺伝子のエピジェネティック調節機構の検討2014

    • 著者名/発表者名
      林 香、篠村裕之、中村真理、畔上達彦、小口英世、伊藤裕
    • 学会等名
      第51回分子臨床医学会学術総会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京)
    • 年月日
      2014-04-11

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公開日: 2016-06-01  

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