研究課題
若手研究(B)
申請者はこれまでに低分子量GTP結合蛋白Rhoと、そのエフェクターであるRho-kinase (ROCK)の活性化が糖尿病腎症(以下、腎症)の発症機転に重要な意義を有することを示してきた。ROCKにはROCK1とROCK2という2つのアイソフォームが存在するが、その機能分担の詳細は十分に理解されておらず、重要な研究課題として残されている。近年、ROCK1によるミトコンドリア機能制御を介した腎症進展機構が示されたが、ROCK2の果たす役割は未だ解明されていない。本研究では腎症の発症進展過程におけるROCK2の役割を解析し、その治療学的意義を明らかにすることを目的とした。in vivoの検討においては、dbヘテロ接合体マウス(Lepr+/-)とROCK2ヘテロ接合体マウス(ROCK2+/-)の交配から、①Lepr+/-(非糖尿病モデル):ROCK2+/+、②Lepr+/-:ROCK2+/-、③Lepr-/-(糖尿病モデル):ROCK2+/+および④Lepr-/-:ROCK2+/-の4群を作製した。今後、これらの群間で尿中アルブミン排泄量を指標とした腎症の進展評価を行う。また、これらのマウスから腎組織を摘出し、糸球体硬化を分子生物学的、病理組織学的に評価する。in vtiroでの検討ではsiRNAを用いてROCK2ノックダウンメサンギウム細胞を作製した。これを低酸素環境下や高ブドウ糖条件下で培養し、糸球体硬化関連遺伝子の発現を解析する。低酸素応答や酸化ストレス、ミトコンドリア機能に注目した検討を行い、ROCK2による糸球体硬化制御機構を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
in vivoの検討においては、dbヘテロ接合体マウス(Lepr+/-)とROCK2ヘテロ接合体マウス(ROCK2+/-)の交配から、①Lepr+/-(非糖尿病モデル):ROCK2+/+、②Lepr+/-:ROCK2+/-、③Lepr-/-(糖尿病モデル):ROCK2+/+および④Lepr-/-:ROCK2+/-の4群作製に成功している。in vtiroでの検討では、siRNAを用いてROCK2ノックダウンメサンギウム細胞を作製を終えている。
in vivoの検討においては、作製した4群間で尿中アルブミン排泄量を指標とした腎症の進展評価を行う。また、これらのマウスから腎組織を摘出し、糸球体硬化を分子生物学的、病理組織学的に評価する。in vtiroでの検討では、作製済みのROCK2ノックダウンメサンギウム細胞を低酸素環境下や高ブドウ糖条件下で培養し、糸球体硬化関連遺伝子の発現を解析する。低酸素応答や酸化ストレス、ミトコンドリア機能に注目した検討を行い、ROCK2による糸球体硬化制御機構を明らかにする。
マウスの交配と出産について予測困難な側面があり、年度内予定使用額より若干少ない使用額となった。引き続き次年度行われるin vitroとin vivoの解析に使用する。
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