研究課題/領域番号 |
25860692
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
永坂 真也 日本医科大学, 医学部, 助教 (00573239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腎局在樹状細胞 / 腎疾患 / PGE2 / 樹状細胞 |
研究概要 |
本研究は、腎局在樹状細胞 (Renal dendritic cell: RDC) の機能特性及びPGE2に対する反応性の解析を目的としている。 平成25年度は、①RDC特異的マーカーの探索とPGE2に対する反応性の解析、②PGE2受容体選択的アゴニストを用いた受容体別作用の解析を行なう計画であったが、②の選択的アゴニストを用いた解析はマウスから得られるRDC数が非常に少ないことから困難であると判断した。 まず、RDC (CD11c+F4/80+) 特異的マーカーの探索を行なった。マウス脾臓由来のClassical-DC (cDC: CD11c+F4/80-B220-PDCA1-) とPlasmacytoid DC (pDC: CD11c+F4/80-B220+PDCA1+) との比較を行なった。各DC表現型をフローサイトメーターにより解析し、またソーティングにより各DCを単離精製し、qRT-PCRを行なった。その結果、マウスpDCがそのマーカー分子であるB220とPDCA1の両方を発現している一方で、驚いたことにRDCはpDCほど高くはないがcDCよりも優位に高くPDCA1を発現していることが明らかとなった。さらに、RDCはTLR4発現がcDCと比べ著しく高い一方で、TLR9発現はpDCと同程度であった。これらのことから、RDCはCD11c+F4/80+B220-PDCA1+という特徴的な表現型を有することを明らかとした。Cox-2やmPGES-1などPGE2合成に関与する分子の発現も確認され、RDCがPGE2のAutocrine経路を介して自身の機能制御を行なっていることが示唆された。 また、腎疾患モデルとして一側尿細管結紮モデル (UUO) において、誘導5日目の腎臓にはRDCのみならずcDCやMφを初めとする炎症細胞浸潤が見られることも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RDCがTLR4を高発現しており、TLR9もpDCと同程度発現しているなど、表現型の解析やRDC特異的な発現様式としてB220とPDCA1という二つのpDCマーカーによりB220-PDCA1+を同定したが、マウスから得られるRDC数が極端に少ないことからin vitroでのPGE2受容体選択的アゴニストによる刺激実験は困難であった。この問題を解決するために、in vivoでの選択的アゴニストによる刺激実験を行なう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の計画であった、PGE2受容体選択的アゴニストによるRDC刺激実験をin vivoにて行なう。これらin vivoでの実験では平成25年度に行なったUUOモデルマウスを同時に組み合わせることで、腎間質傷害時における4つのPGE2受容体機能をそれぞれで明らかにすると共に、UUOによる腎傷害時にPGE2産生が上昇する細胞を同定する。 平成25年度では、糸球体腎炎モデルがまだ確立されていなかったことから、既に広く用いられている腎間質傷害モデルマウス (UUO) を用いた。しかしながら、本研究で本来目的としている疾患モデルは糸球体腎炎であるため、MPO-ANCA関連腎炎発症マウスモデルの確立もMPO KOマウスを用いて行なう。間質/糸球体腎炎モデルマウスで腎組織へ浸潤してくる各種炎症細胞をそれぞれ経時的にソーティングにより精製し、各炎症細胞と腎組織細胞がどのように相互作用しているかの解析を行なう。
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