研究課題/領域番号 |
25860700
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三井 純 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70579862)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子遺伝学的研究 |
研究概要 |
平成25年度は,両親がいとこ同士で多系統萎縮症の発症者が1例の家系を収集し,合計5家系についてパラメトリック連鎖解析を行った.単独の遺伝子座への連鎖を仮定するとLODスコアの高い領域は得られず,常染色体劣性遺伝性疾患を仮定した場合,遺伝的異質性が示唆された.連鎖解析において,遺伝的異質性を許容したHLODスコアを計算したが,候補として可能性が十分に高い領域の選択が困難であった. 続いて,5家系の発端者についてエクソーム解析を行った.データは質の確認を行い,標準的なデータであることを確認した.bwaを用いて参照ゲノムにアライメントを行い,samtoolsにて変異のコールを行った.アミノ酸置換やスプライシング変異のみを抽出した.この結果,1サンプルあたり10,000~11,000個程度の変異が得られた. インハウスに健常者514例のエクソームのデータが利用可能であったため,MAF < 0.5%を満たす変異で患者が少なくとも1アレル以上もっている変異を抽出したところ,1439個の変異が得られた.このうち,患者がホモ接合性に持っている変異は1個あり,1家系のみに見られた.患者がヘテロ接合性に持っていて,複数の家系に見られる変異は5個見られた.これらの候補となる変異で共通する遺伝子は認められなかった. 以上より,複数家系に共通して常染色体劣性遺伝形式を満たす病原性遺伝子はエクソームのデータからは抽出できなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定より1家系多い5家系について検討できた.連鎖解析によって,候補領域が複数家系で重なり,候補領域の絞り込みが十分に行えることを期待していたが,それは難しかった.しかし,健常者のエクソームデータを利用できたことから,MAFの低い変異を十分に絞り込み,検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
候補となる遺伝子について,孤発性MSAサンプルの規模を拡大して,正常対照者群と合わせて関連解析を進める.申請者らが別プロジェクトで同定したCOQ12遺伝子についても合わせて検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
複数家系の連鎖解析で共通する候補領域が得られると仮定していたが,共通するような候補領域が得られず,候補となる遺伝子の絞り込みが困難であった.そのため,プライマーの作成などの実験計画に遅延が生じた. 候補となる遺伝子については,申請者らが別プロジェクトで同定したCOQ2遺伝子に関連した遺伝子群に計画を変更し,関連解析の準備・遂行を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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