研究期間中,親がいとこ同士で多系統萎縮症の発症者を新たに2家系収集し,既存の4家系と合わせて合計で6家系を解析対象とした.パラメトリック連鎖解析による検討では,遺伝的異質性を許容したHLODスコアの計算でも,有意と思われる候補領域の絞り込みができなかった.続いて,それぞれの家系の発端者,計6例についてエクソーム解析を行った.インハウスの日本人健常者600例を対照として,アレル頻度が0.1%未満のホモ接合性変異を抽出したが,複数家系に共通する遺伝子の変異は検出できなかった.以上の結果より,常染色体劣性遺伝形式で発症する多系統萎縮症はあったとしても稀であることが推測された.
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