研究課題
若手研究(B)
α7ニコチン性アセチルコリン受容体は記憶などの認知機能に深く関与し、その障害は神経細胞死にも関連があることが示唆されている。しかし、アルツハイマー病(AD)におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体のイメージングはほとんど行われておらず、記憶障害やADの背景病理であるアミロイドの沈着との関連は不明である。認知機能障害、アミロイド沈着との関連を検討するため、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脳内密度をポジトロン断層法(PET)にて撮像した。AD症例6名をエントリーし、Mini-Mental State Examination(MMSE)、リバーミード行動記憶試験、Frontal Assessment Battery、Self Rating Depression Scale(SDS)を施行し、全般的認知機能、記憶、前頭葉機能、抑うつの程度を評価した。さらに、症例全例にPIB-PETを施行し、アミロイドの沈着の程度を評価した。より厳密かつ正確な関心領域の設定が可能にするため、[11C]Me-QAAPET検査の前に、3-dimensial MRIを撮像し、PET及びMRIガントリーをACPCラインを中心に平行になるようセッティングを行った。AD症例に対して、α7アセチルコリン受容体を標識する[11C]Me-QAAを用いて、浜松ホトニクス社製頭部専用PETスキャナーHITS655Kを用い、全脳をスキャンを行い、AD症例のデータを取得した。また、ADにおける[11C]Me-QAAの脳内結合能を正常対象群と比較して、α7アセチルコリン受容体の占有率の異常を明らかにするため、[11C]MeQAAの正常人2人において、同様に[11C]Me-QAA-PETを施行し、正常データベースの作成を行った。
2: おおむね順調に進展している
[11C]Me-QAAの脳内結合能を正常対象群と比較して、α7アセチルコリン受容体の占有率の異常を明らかにするため、AD症例15名、正常人10名のデータベースの作成を行うが、AD6症例、正常人2名の撮像まで完了している。また、ADにおける各種認知機能検査のスコアとPETにおける[11C]Me-QAAとの相関のある脳部位(関心領域)を同定を行うが、6症例の詳細な神経心理学的検査は完了している。さらに、PIB-PETによってイメージングしたアミロイドの沈着の程度と、α7アセチルコリン受容体との関連もSPMを用いて検討するが、6症例のPIB-PETも施行は完了している。解析は、MRI画像を用いて脳の関心領域を設定するが、より厳密かつ正確な関心領域の設定のため必要な3-dimensial MRI撮像は、AD症例6名、正常人2名が完了している。
前年度に引き続き、AD症例9名、正常人8名の臨床評価、PET撮像を行い、今年度中に撮像を終了させる。データ取得後、関心領域法と統計画像法の両方を用いて解析する。 [11C]Me-QAAの脳内結合能を正常対象群と比較して、α7アセチルコリン受容体の占有率の異常を明らかにする。また、各種認知機能検査のスコアとPETにおける[11C]Me-QAAとの相関を、SPMを用いて解析する。SPMではmultiple regrettion (correlation) analysisを用いて、神経心理学的検査と相関のある脳部位(関心領域)を同定する。さらに、PIB-PETによってイメージングしたアミロイドの沈着の程度と、α7アセチルコリン受容体との関連もSPMを用いて検討する。
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