研究課題/領域番号 |
25860711
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅野 剛史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40649167)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / α-シヌクレイン / 酸化ストレス |
研究概要 |
パーキンソン病は未だ発症機構が不明で根本的な治療法あるいは予防法も確立されていない、運動機能障害を伴う進行性の神経変性疾患である。本研究では、ヒトの孤発性パーキンソン病を再現するようなマウスの作製を試み、パーキンソン病の発症機構の解明を目指して以下の研究を行った。 まず孤発性パーキンソン病の病理的指標であるレビー小体の主要構成成分であるα-シヌクレインのトランスジェニックマウスに対し、慢性的な酸化ストレス(環境要因)が負荷されるようなマウスを作製した。その結果、若年期では目立った表現型は観察されなかったものの、壮年期には孤発性パーキンソン病の病理的特徴の一部と似た所見を示す結果を得たことから、孤発性のパーキンソン病を一部再現できた可能性が考えられた。また行動解析試験を行ったところ、作製したマウスでは一部の行動が野生型マウスよりも低下していることを示唆するデータを得たため、この行動異常が脳内のどのような変化と対応するのかを現在検討している。今後は孤発性パーキンソン病の病理的・生化学的特徴と照らし合わせて、さらなる詳細な解析を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の懸念であった作製したマウスが目立った表現型を示さないという可能性が低くなり、一部で孤発性のパーキンソン病の表現型が再現されたことで、孤発性パーキンソン病の解明に大きく前進することができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、孤発性パーキンソン病の病理的特徴と照らし合わせつつ、経時的な脳組織の観察を続け、様々なパーキンソン病のマーカー蛋白質の病理変化を観察している。また、生化学的な側面からの解析、特にドパミン代謝の変化に注目して解析を行っている。 さらに作製したマウスがパーキンソン病の治療薬の開発ツールとして有用であるか、パーキンソン病の治療薬候補の投与実験などを行うことで総合的に検討を進めることを計画している。
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