研究課題
若手研究(B)
腸内細菌叢は全身の免疫状態に影響するため、関節リウマチ及び炎症性腸疾患などの自己免疫疾患において大きな役割を果たしていることが知られており、中枢神経系の自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)においても腸内細菌の関与が示唆されており、我々は乳酸菌の一種がMS動物モデル(EAE)で発症予防効果があることを見出し報告した。スクリーニングシステムで分類した発酵食品に含まれている酵母の多発性硬化症モデルに対する効果の検討を行ったところ、7種類の酵母の内有効な菌種を同定した。さらにその効果は腸内細菌叢を介して腸管内Th17細胞の抑制や腸間膜リンパ節における抑制性細胞の誘導により抗炎症作用を有することを示唆するデータを得ることができた。従来から知られているLactobacillaeではなく、PrevotellaやBacteroidesの関与を示唆するデータを得ている。またこの効果は実験的腸炎モデルにおいても効果があることが確認されている。
2: おおむね順調に進展している
今回いくつかの候補の菌種の内から有効菌を見出すことができている。またその作用として、腸管内でのTh17細胞や抑制性T細胞の関与がすでに明らかになっており、その誘導に変化した腸内細菌叢の変化がかかわっていることまでが明らかになっている。
抗炎症作用を有する腸内細菌叢の変化が明らかとなっているが現在までのところ、属レベルであり、その詳細な菌種の同定の解析はできていない。また近年腸内細菌叢と変化とともにその代謝産物の作用が着目されているため、今後代謝産物の変化による作用の解析も必要であると考えられる。
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