研究課題
本研究では日常的に摂取される発酵食品に含まれる酵母の内、経口摂取により神経免疫疾患である多発性硬化症のモデル動物である実験的脳脊髄炎モデルを改善させる善玉菌について探索を行った。発酵食品に含まれているアスペルギルスやサッカロマイシス、カンジダなどの検討を行った18種類の酵母の内、カンジダ・ケフィールにおいて実験的脳脊髄炎の症状改善を認め、中枢神経への炎症細胞浸潤の減少、IFN-γ、IL-17などの炎症性サイトカインの減少を認めた。また腸管においてのサイトカイン産生や免疫細胞の解析では小腸におけるIL-6の減少、大腸におけるIL-10の増加を認め、小腸、大腸の腸管粘膜下層に存在するCD4陽性IL-17産生細胞(Th17細胞)の減少および腸間膜リンパ節における抑制性樹状細胞の増加を認めた。をそれぞれ認めた。以上のことからカンジダ・ケフィールの経口投与において腸管での炎症性サイトカインやTh17細胞の減少が全身での炎症反応を抑制し、実験的脳脊髄炎の症状を抑制したと考えられた。腸管での炎症細胞の抑制の機序としてはカンジダ・ケフィール投与群においては腸内細菌叢解析においてラクトバシラスの増加およびバクテロイデスの減少を認めた。カンジダ・ケフィール投与群の腸内細菌叢を別のマウスに移入することにより腸間膜リンパ節における抑制性樹状細胞の誘導および実験的脳脊髄炎の症状の軽減を再現することができた。このことよりカンジダ・ケフィールの炎症抑制作用は経口投与による腸内細菌叢の変化を介したものであると考えられた。このことより本研究は食習慣や食事による多発性硬化症の新しい治療法につながる重要な研究であると考えられる
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Annals of Clinical and Translational Neurology
巻: 2 ページ: 56-66
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PLoS One
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