研究課題
Wistar Ratから骨髄間葉系細胞を採取、培養し、beta-mercaptoethanol、レチノイン酸で処理した後、human basic FGF、forskolin、PDGF、heregulin-beta1-EGF-domainを加えることで、シュワン細胞を誘導した。誘導細胞は、P0、Krox20、S-100、O4等を発現していることが、RT-PCRおよび免疫細胞化学で示された。Wistar Ratに対し、一側の線条体に6-ハイドロキシドパミン(6-OHDA)を注入して、片側パーキンソン病モデルラットを作成。モデルラットの線条体に対し、細胞を移植。実験はvehicle、骨髄間葉系細胞、誘導細胞の3群で行った。誘導細胞群は、個体によっては移植後1-2週頃から回転運動の減少を認めたが、全体としては有意な改善を認めなかった。組織学的評価を行うと、移植7日目には移植細胞のシュワン細胞マーカーの発現は低下しており、移植4週後には細胞の残存がわずかしか認められなかった。本誘導シュワン細胞は、移殖後シュワン細胞としてのとしての特徴を失っていき、また排除されていることが示唆された。したがって、間葉系細胞内に存在すると報告されているMulti-lineage differentiating Stress Enduring (Muse)細胞を移植する方針へ変更。ヒト骨髄間葉系細胞からSSEA-3陽性細胞としてMuse細胞を採取。非接着培養を行いclusterを形成。Sox2、Nanog、Oct4などの未分化マーカーの発現していることを確認した。またこのclusterを接着培養すると自発的に3胚葉系の細胞へ分化することも確認した。科学研究費の期間としては終了したが、Muse細胞をもちいたパーキンソン病の移植治療研究を引き続き継続する予定である。
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