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2015 年度 実績報告書

小胞体ストレスは運動ニューロン変性において本質的であるか?

研究課題

研究課題/領域番号 25860718
研究機関熊本大学

研究代表者

森 麗  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (70608877)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 小胞体ストレス / 運動ニューロン / TDP-43 / FUS
研究実績の概要

申請者らは、致死的神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の根治的治療法開発を最終目標に掲げている。ALSは大脳運動皮質、脳幹部および脊髄前角細胞の運動ニューロンの選択的変性をきたし、今日まで有効な治療法はなく、大部分の患者は呼吸筋麻痺のため3~5年で死に至る。その原因は未だに解明されていないが、その機序の一つとして運動ニューロンの小胞体内に異常蛋白が蓄積し小胞体ストレスを誘導することで、最終的にアポトーシスを来すことが明らかとなっている。近年、ALSにおけるユビキチン化封入体の主要な構成成分がTDP-43であると報告された。平成27年度の実験計画として、骨格筋プロモーターにより野生型TDP-43を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し、骨格筋線維内TDP-43凝集形成モデルを確立することによって、凝集化TDP-43が実際に生体内で小胞体ストレスを誘導するか否かを検討した。野生型TDP-43マウスでは生後36週以降に経時的に体重が減少し、生化学的にCKやLD、ASTなどの筋逸脱酵素の上昇を認めた。また病理学的に筋線維内に空胞を形成し、TDP-43陽性の筋形質内凝集を認めた。これらの凝集をレーザーマイクロダイセクションにより摘出し、LC-MS/MSにより網羅的に凝集に含まれる蛋白解析を行ったところ、小胞体や細胞質に局在する分子シャペロンや蛋白品質管理に関与する蛋白発現の増加が見られた。免疫染色では、TDP-43陽性筋形質内凝集はBiP、Calnexinなどの小胞体シャペロンと共局在し、変性筋の筋核ではCHOPの発現がみられ、小胞体関連アポトーシスが誘導されている可能性が考えられた。生体内のTDP-43凝集は小胞体ストレスを誘導することによって、組織障害をもたらす可能性があり、ALSの治療ターゲットとして小胞体ストレスの制御が重要と考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Clinicopathological features of the first Asian family having vocal cord and pharyngeal weakness with distal myopathy due to a MATR3 mutation2015

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yamashita, Akira Mori, Yasuto Nishida, Ryoichi Kurisaki, Nozomu Tawara, Tomo Nishikami, Yohei Misumi, Hidetsugu Ueyama, Shigehiro Imamura, Yujiro Higuchi, Akihiro Hashiguchi, Itsuro Higuchi, Shinichi Morishita, Jun Yoshimura, Makoto Uchino, Hiroshi Takashima, Shoji Tsuji andYukio Ando
    • 雑誌名

      Neuropathology and Applied Neurobiology

      巻: 41 ページ: 391-398

    • DOI

      10.1111/nan.12179.

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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