研究課題/領域番号 |
25860720
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
前川 達則 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (30647673)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ミクログリア / パーキンソン病 / αシヌクレイン |
研究概要 |
平成25年度における本研究は概ね計画通りに実施することができた。25年度の研究計画であった初代培養ミクログリアの樹立や、それらの細胞を用いた実験系の確立は概ね遂行できた。現時点で初代培養ミクログリアは、およそ96%の純度で安定的に作製することができている。また、パーキンソン病の脳内環境に大きく影響するalpha synucleinの分解機能に関して興味深い研究結果が得られた。LRRK2 KOマウスとWTマウスからそれぞれ分離したミクログリアの培養液中にalpha synucleinを加えたところ、LRRK2 KOミクログリアにおいてalpha synucleinの分解が亢進していた。この結果はLRRK2がalpha synucleinの分解を負に制御していることを示唆しており、ミクログリアLRRK2が脳内のalpha synucleinの蓄積に関与することが明らかになった。 その一方で、alpha synucleinによって引き起こされるミクログリアの活性化はKOミクログリアで低下していた。この結果はalpha synuclein由来の炎症反応がLRRK2によって正に制御されていることを示唆している。 これらの結果を統合すると、ミクログリアLRRK2のノックアウトは、神経細胞にとって保護的な作用と傷害的な作用の正反対の作用を引き起こすことが明らかになった。 26年度は、25年度に明らかにした現象が具体的にどのようなメカニズムによって引き起こされているのかを明らかにする予定である。現在まで、パーキンソン病の研究は神経細胞に焦点を当てたものが主流であったが、このように新たな側面からパーキンソン病発症メカニズムを明らかにすることで、パーキンソン病発症機序の解明に新たな知見を与えることができる。さらには新規治療の開発にも大きく貢献できるものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画に記載していた初代培養ミクログリアの作製は、既報の文献を参考にし、非常に高い純度でマウスから分離することができた。安定した細胞の作製方法を樹立した結果、当初の研究計画を円滑に進めることができ、順調にデータを得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度はLRRK2 KOマウスにおけるalpha synucleinの分解低下の詳細な分子メカニズムを明らかにするために、初代培養ミクログリアの分子取り込み機構に着目して研究を展開していく予定である。同時にalpha synucleinに起因するミクログリアの活性化がどのようなシグナル経路を活性化させるのかを明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度末に試薬を購入する予定であったが、国内在庫切れのため、翌年度に持ち越すこととなった。 平成25年度末に購入することのできなかった試薬を購入する。
|