平成26年度は25年度の結果を受け、LRRK2ノックアウトミクログリアにおけるalpha-synuclein(aSYN)分解亢進のメカニズムを明らかにすることを目的とした。前年度に確立した初代培養ミクログリアを用いて、野生型、LRRK2ノックアウトのミクログリアがどのような細胞機能変化を起こしているかを解析した。aSYNの取り込みに関与するエンドサイトーシス関連分子に着目し、解析を行った結果、ノックアウトミクログリアではRab5陽性エンドソームが増加していることが明らかになった。また、Rab5陽性エンドソームはaSYNと共染色され、共染色されたエンドソームの数もノックアウトミクログリアでは増加していた。加えて、細胞膜からの小胞形成を行うdynamin1とRab5の共局在率もノックアウトミクログリアで増加していることが明らかになった。すなわち、LRRK2は早期エンドサイトーシスを負に制御しており、LRRK2ノックアウトミクログリアではこれらのブレーキ機構が破綻し、aSYN分解が促進していたものと考えられる。 前年度に明らかになったLRRK2ノックアウトミクログリアにおける炎症性サイトカイン分泌低下のメカニズムを明らかにするため、関与が疑われたTLR4の拮抗阻害剤を用いた解析を行った。その結果、aSYN誘導性のノックアウトミクログリアにおけるサイトカイン分泌低下は、TLR4受容体を介していることが確認できた。 本研究成果によって、パーキンソン病関連分子LRRK2のミクログリアにおける新たな機能が明らかになった。同時にaSYNとミクログリアを軸とした新たなパーキンソン病病態メカニズムの可能性が示唆された。これらの研究成果は新規治療や新薬開発に新たな知見を与えることができると考えられる。
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