研究課題/領域番号 |
25860731
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研究機関 | 公益財団法人冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
前田 明子 公益財団法人冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20646799)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋炎 / 不整脈 / 自己抗体 / 原発性胆汁性肝硬変 / 抗ミトコンドリア抗体 |
研究実績の概要 |
H26年度には、抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎症例における臨床情報の追跡調査の継続を行い、心臓合併症を有する抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎症例について、治療内容、症状の経過、その後の心臓合併症の発症の有無につき、メール、電話、郵便で問い合わせを行い、応報を得た。得られた情報をもとに、抗ミトコンドリア抗体陽性および原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎にうち、心臓不整脈または呼吸筋障害を認めた症例30例の臨床経過、治療内容、長期経過に関するobservational study(英文論文)を作成し、現在投稿準備中である。 抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変合併筋炎症例の血清を用いてBAFF(B cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family)濃度をELISA法で測定したが、有意な上昇は認めなかった。 また、今後筋炎症例の生検筋組織のmRNA発現解析を今後行っていくことを検討しており、今年度はそのパイロット研究として、皮膚筋炎症例の生検筋うち筋束周辺部萎縮におけるmRNAの発現プロファイル解析を行った。皮膚筋炎で筋束周辺部萎縮を認める3つの群①血清抗Tif1γ抗体陽性症例群(癌を合併することが多い症例群)、②血清抗Jo1 抗体陽性症例群(ARS 症状を有することが多い症例群)、③血清抗Mi2 抗体陽性症例群(治療反応性が良好で予後は良好であることが多いとされる症例群)において、各々生検筋組織の筋束周辺部萎縮のmRNAを抽出し発現解析を行った。その結果、これらの3 つの群ごとでは筋束周辺部萎縮のmRNAプロファイルは異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変と診断されかつ心臓合併症を有した症例の臨床情報の収集に関しては概ね順調に進展していると判断している。新規の抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎の病理学的検索は順調に進展している。 今後生検筋組織のmRNA発現解析を行うことを検討しており、現在パイロット検討を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎症例における①臨床情報の追跡調査の継続および②同症例の血清を用いた心筋自己抗体の検索や血清活性物質の測定の継続を行っていく。 抗ミトコンドリア抗体陽性もしくは原発性胆汁性肝硬変を合併した筋炎症例での生検筋組織のmRNA発現解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度のAmerican Academy of Neurology annual meetingが出産時期と重なってしまったため、自分自身が出席できなかったため、往復の旅費にあてた予算を使用しなかった。そのため次年度使用額をが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
筋生検筋組織のmRNA発現解析の検討に必要な予算の一部に使用することを検討している。
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