研究課題/領域番号 |
25860734
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
森 秀一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30508677)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 重症筋無力症 / 神経筋シナプス / MuSK |
研究概要 |
現在、重症筋無力症の治療はステロイド薬を第一選択とし、それを補う形で他の免疫抑制薬が併用されている。しかし、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症 (MuSK-MG) は抗AChR抗体陽性重症筋無力症 (AChR-MG) と比較して患者数が少ないこともあり、治療薬に対する根拠に乏しい状況である。また、AChR-MGとMuSK-MGの発症機序が異なることを考慮すると、区別して治療に当たる必要があると考えられる。本研究では、申請者が作成したMuSK-MGの動物モデルを用いて、現在の重症筋無力症の治療指針に対して新たな指針を提言するだけでなく、MuSK-MGの新たな病態機序の解明を介して新規治療法の確立につなげることを目的とする。 平成25年度は、迅速な臨床研究への移行と疾患への適応認可を目的とするため、海外で既に使用が認可され、免疫抑制作用が報告されているmTOR阻害薬のラパマイシンの治療効果を検討した。マウスにMuSKタンパクを2回免疫注射すると、筋萎縮・筋力低下を伴う体重減少が認められ、重症筋無力症が発症する。しかし、2回目のMuSKタンパクを免疫注射した日からラパマイシンの投与を開始すると、MuSK-MGの発症に伴う体重減少が抑えられた。神経筋シナプスの形態観察では、シナプス後膜に多数のAChR凝集が明確に認められ、vehicle投与マウスとの形態の違いは明らかであった。また、血中の抗MuSK抗体価の上昇が抑えられており、ラパマイシンは抗体の産生を抑制することでMuSK-MGの発症を抑えていると考えられ、MuSK-MGの新たな治療薬として有用である可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討した薬剤の有効性が確認されており、これらの成果を学会や論文で発表する見通しが立っているため、順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
近年、重症筋無力症の発症機序に関して、過剰な免疫反応を抑制する制御性T細胞の機能が注目されるようになってきている。ラパマイシンはmTORのシグナルを抑制して胸腺での制御性T細胞への分化を亢進し、免疫寛容を誘導するという研究がいくつか報告されていることから、今後は制御性T細胞に着目して作用機序の研究を進めていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度は助成金をほぼ計画通りに使用しており、次年度使用額は今年度の端数に相当する分である。 今年度と同様に実験動物を用いた研究を遂行していく予定である。そのため、実験動物の購入や維持管理に加え、解析用の試薬や消耗品の購入に助成金を使用する予定である。
|