現在、重症筋無力症の治療はステロイド薬を第一選択とし、それを補う形で他の免疫抑制薬が併用されている。しかし、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症 (MuSK-MG) は抗AChR抗体陽性重症筋無力症 (AChR-MG) と比較して患者数が少ないこともあり、治療薬に対する根拠に乏しい状況である。また、AChR-MGとMuSK-MGの発症機序が異なることを考慮すると、区別して治療に当たる必要があると考えられる。本研究では、現在の重症筋無力症の治療指針に対して新たな指針を提言するだけでなく、MuSK-MGの新たな病態機序の解明を介して新規治療法の確立につなげることを目的とする。 平成27年度は、従来の抗体よりMuSKに対して高い親和性を有するウサギのモノクローナル抗体を作製した。数種類のモノクローナル抗体を組み合わせることで、病原性自己抗体と同様にMuSKの機能を抑制することがin vitroで示された。作製したモノクローナル抗体を用いることで、MuSK-MGの発症につながる分子機構を解明することが可能となった。
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