研究課題
若手研究(B)
1,アミノ酸トランスポーター及びmTOR経路活性化因子Rhebを遺伝子組換え法にて組み込んだアデノウイルスの維持―(1)課題番号23791011において作製したアミノ酸トランスポーター(SNAT2)を組み込んだアデノウイルスを培養細胞を用いて系統維持を継続した。(2)課題番号23791011において作成したmTOR経路活性化因子Rhebを組み込んだアデノウイルスを培養細胞を用いて系統維持を継続した。2,SNAT2及びRhebアデノウイルスを肝臓に発現したモデルマウスの解析―(1)SNAT2、Rhebアデノウイルスを用い、後天的に肝臓に過剰発現したモデルマウスを作製した。(2)モデルマウスにおいて、実際に肝臓でのアミノ酸含有量は増加しており、また肝臓におけるmTOR/S6K経路は活性化していた。また、代謝パラメーター解析の中で、対象群に比べて血清脂質プロファイルに変化を認めた。3,他の組織・臓器に及ぼす影響の検討―上記にて認められた、脂質代謝に変化を及ぼす関連遺伝子の変化の中でリポ蛋白リパーゼ(LPL)に注目した。LPLの産生部位には、心筋や骨格筋といった筋組織や、白色脂肪の脂肪組織などが列挙され、前者では特に発現変化は認めなかったが、後者では発現の低下を認めた。4,白色脂肪組織でのLPL変化についての機序の検討―遠隔の脂肪組織での変化を考えるうえで、肝臓から脳への求心性の神経系の関与を想定した。前もってマウスの迷走神経肝臓枝の選択的な切断術を施行し、そこに肝臓に遺伝子導入を行ったモデルマウスを作製した。このマウスでは対象手術群に比べて、白色脂肪組織でのLPLの発現の減少がキャンセルされていた。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の研究実績と現在の進行状況に関して、当初の研究計画書の内容に即して簡潔に記載した。現在、研究は進行中であるが、肝臓への局所的な遺伝子導入がmTOR経路を変化させ、迷走神経を介して遠隔臓器の脂肪組織へ影響を及ぼすという有望な研究結果を得ている。平成26年度は、この遠隔臓器への影響の詳細なメカニズムに迫ることを中心に考え、検討を進めていく予定である。
平成26年度は、上記の研究実績に委細の、肝臓への局所的な遺伝子導入による遠隔臓器への影響の詳細なメカニズムの解明を主目的に据えて研究を継続する予定である。第一に、求心性神経繊維の選択的な遮断剤を用い、迷走神経周囲に処置を行うことで、求心性神経経路の遮断を試みる。こうして作製されるモデルマウスに、前年度と同様に、アデノウイルスを用いて肝臓に選択的に遺伝子導入を行うことで、対象処置群に比較していかなる差異を生み出すか、主として検討する。
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BMC Neurology
巻: 13 ページ: 76
10.1186/1471-2377-13-76