本研究の目的は、インスリン抵抗性の形成や動脈硬化に代表される血管合併症の発症に果たす小胞体ストレス応答の役割を、その調節メカニズムも含めて詳細に検討することである。その中で小胞体ストレスを軽減する役割を持つと想定されるWFS1を欠損したマウスや培養細胞を詳細に検討し、メタボリックシンドロームの基盤となる病態から動脈硬化に至るまでの経路における小胞体ストレス応答の重要性について研究を進めた。 1)WFS1欠損マウスから採取した腹腔Mφを、ECと共に培養することで、MφのWFS1がECに及ぼしている作用に関して、接触共培養とトランスウェルを用いた非接触共培養の条件で検討する。 培養内皮細胞系にてWFS1のsiRNAのノックダウン実験とWFS1欠損Mφを共同培養し、炎症性因子や増殖因子の発現について検討を行った。 2)アデノウィルスを用いたWFS1過剰発現の検討 WFS1発現アデノウィルスを用いてに示す各種培養細胞に添加し、あるいは肥満・糖尿病マウスに静脈投与することでWFS1過剰発現の系を作成し、インスリン抵抗性や動脈硬化形成におけるWFS1の役割を解析した。
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