研究概要 |
AMPKが肥満治療の標的分子として注目されているが、近年我々はその上流のLKB1がFynによって直接制御されていることを報告した。さらにFynがLKB1を介さずとも、AMPKを直接チロシンリン酸化することで、その活性を調節する可能性に関して様々な検討を行っている。今回更に検討を行い、下記結果を得た。①FynによるAMPKの直接のリン酸化をin vitroの系で確認した。②変異体(AMPK-Y432F)を作成し、内因性のAMPKをノックダウンした細胞にてAMPK-WT,Y432Fを発現したところ、変異体を発現した細胞にてAMPK活性の上昇を認めた。またAMPKはα,β,γ サブユニット(α,β,γ )からなるため、更に検討し下記結果を得た。③Fynによるリン酸化部位を変異させたGST融合変異体GST-AMPKα-Y432FとGST-AMPKα-WTを293細胞で発現し共免疫沈降法を行ったところ、これらαと結合するβ,γは変化がなかった④GST-AMPKα-WT/Y432Fと結合するβ,γをpull downで確認したところ変化がなかった⑤③と逆も同様だった⑥変異体を発現した細胞でAMPK基質のraptor,ulk1のリン酸化が上昇した⑦④の細胞でαの活性を確認したところ、変異体を発現した細胞にて上昇を認めた。これら結果はFynによるAMPKの活性調節がαの分子内の構造変化によって生じる可能性を示唆している。
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