膵芽・膵上皮細胞(NKX6.1+細胞)は、発生過程において膵臓への分化が決定された細胞である。NKX6.1+細胞への分化誘導は多能性幹細胞からの膵細胞作製において要所となる。しかしながら、その作製方法は確立していない。本研究では、細胞塊の形成がNKX6.1+細胞の誘導因子の一つであることを示した。また、作製したNKX6.1+細胞は膵芽細胞の指標となる遺伝子発現をしており、移植することで膵上皮様構造やグルコースに応答してインスリン分泌する膵β細胞へと分化可能であった。本研究で開発したヒト多能性幹細胞からのNKX6.1+細胞の分化誘導法は、膵細胞を用いた基礎研究や臨床応用に有用である。
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