研究課題
研究者代表者は、栄養素によるインクレチンの分泌制御機構を分子レベル、個体レベルの両方から検討した。まず、研究代表者は分子レベルでの解明に必須となる培養細胞モデルを確立した。既存の培養細胞モデルを複数検討した結果、いづれも三大栄養素全てに応答するものはなく、栄養素感知に必要な膜表面受容体やトランスポーターの発現欠如によることを明らかにした。そこで脂肪酸やアミノ酸に対してインクレチン応答を示す消化管内分泌細胞STC-1株を用いて、sodium/glucose co-transporter-1 cDNAを導入、グルコースにも応答性する細胞株を確立した。現在、本細胞株を用いて各栄養素刺激前後でメタボローム解析、プロテオミクス解析を行い、栄養素刺激の下流でインクレチン刺激に重要な代謝経路、シグナル経路の明確化を試みている。さらに、研究代表者はヒトにおいて栄養素に対するインクレチン応答性を規定する代謝マーカーを検討する目的で、2型糖尿病患者、糖尿病予備群、健常者において、経口ブドウ糖負荷試験と食事負荷試験を行い、栄養素に対するインクレチン応答が耐糖能に影響されないことを報告した(Yabe D et al., J Diabetes Complications 2015)。今後、得られたサンプルをメタボローム解析し、インクレチン応答の予測因子の同定を試みる。さらに、研究代表者はヒトにおいて栄養素に対するインクレチン応答性を検討する過程で栄養素の摂取順序がインクレチン応答に大きく影響することを見出し、世界に先駆けて報告した(Kuwata H et al., Diabetologia 2016)。この知見は、糖尿病の予防や治療の分野において高く評価されており、国内外のメディアにも広く取り上げられた。今後、栄養素の摂取順序がインクレチン応答を制御するメカニズムについても検討を進める。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
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