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2013 年度 実施状況報告書

Cdkal1一塩基多型による2型糖尿病発症分子機構の解明及び治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25860753
研究種目

若手研究(B)

研究機関熊本大学

研究代表者

魏 范研  熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90555773)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード糖尿病 / Cdkal1 / tRNA / 一塩基多型
研究概要

平成25年度では当初の研究計画に従い、Cdkal1-v1の分子機構について解析を行った。Cdkal1-v1のmRNAに対するプローブを用いてin situ hybridizationを行った結果、Cdkal1-v1は細胞質内に発現することが分かった。また、定量PCRを用いてヒト由来の各臓器でCdkal1-v1の遺伝子発現量を検討した結果、膵ランゲルハンス島由来の培養細胞においてCdkal1-v1の発現量がもっとも高かった。一方、Cdkal1-v1のタンパク量を検討するために、Cdkal1及びCdkal1-v1に共通する部位に対する抗体を作製し、培養細胞におけるCdkal1-v1のタンパク量を検討した。しかし、Cdkal1-v1を検出することが出来なかった。これらの結果から、Cdkal1-v1はタンパクを発現しない非コードRNAであることがわかった。そこで、Cdkal1-v1を特異的にノックダウンしてCdkal1の発現量や活性を検討した。Cdkal1-v1を抑制すると、Cdkal1-v1のタンパク量が低下し、tRNA修飾が低下した。これらのことから、Cdkal1-v1は非コードRNAとしてCdkal1の活性を制御することが明らかになった。
一方、最適な治療法を検討するため、Cdkal1欠損マウスに既存薬であるスルフォニル尿素(グリベンクラミド)及びGLP-1のアゴニストを連続投与した。グリベンクラミドは、Cdkal1欠損マウスの耐糖能を改善することが出来なかったが、GLP-1アゴニストはCdkal1欠損マウスにおける耐糖能改善効果を有した。これらの結果は、Cdkal1遺伝子欠損を有する患者においてスルフォニル尿素よりGLP-1作動薬が適している可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度において計画通りにCdkal1-v1 の分子機能解析及びCdkal1欠損マウスにおける糖尿病薬の薬効検討を実施した。さらに計画を前倒ししてCdkal1-v1によるtRNA修飾の発現量解析を行った。一方、当初の計画ではCdkal1-v1を機能タンパクとして想定していたが、詳細に検討した結果、Cdkal1-v1は非コードRNAとして積極的にCdkal1の活性制御に関わる、という新しい知見を得る事ができた。従って、本研究は当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

Cdkal1-v1は当初の想定と異なり、非コードRNAであることが明らかになったので、今後は当初の計画を変更し、非コードRNAであるCdkal1-v1によるCdkal1の制御に機構にフオーカスして研究を推進する予定である。Cdkal1-v1は相補的な結合、あるいは他の小分子RNA(miRNA等)を介してターゲットmRNAであるCdkal1を制御する可能性が考えられるため、Cdkal1と相補的な配列の探索あるいは、Cdkal1-v1とCdkal1に共通するmiRNA結合領域を探索することでCdkal1-v1の分子機構を明らかにする予定である。また、Cdkal1欠損マウスを用いた最適な糖尿病薬の探索は、予定通りにDPP4阻害剤を検討する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Generation of functional insulin-producing cells from mouse embryonic stem cells through 804G cell-derived extracellular matrix and protein transduction of transcription factors.2014

    • 著者名/発表者名
      Kaitsuka T, Noguchi H, Shiraki N, Kubo T, Wei FY, Hakim F, Kume S, Tomizawa K.
    • 雑誌名

      Stem Cells Translational Medicine

      巻: 3 ページ: 114-127

    • DOI

      10.5966/sctm.2013-0075

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cyclin G2 promotes hypoxia-driven local invasion of glioblastoma by orchestrating cytoskeletal dynamics2013

    • 著者名/発表者名
      Fujimura A, Michiue H, Cheng Y, Uneda A, Tani Y, Nishiki T, Ichikawa T, Wei FY, Tomizawa K, Matsui H
    • 雑誌名

      Neoplasia

      巻: 15 ページ: 1272-1281

    • DOI

      10.1593/neo.131440

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative PCR measurement of tRNA 2-methylthio modification for assessing type 2 diabetes risk.2013

    • 著者名/発表者名
      Xie P, Wei FY, Hirata S, Kaitsuka T, Suzuki T, Suzuki T, Tomizawa K
    • 雑誌名

      Clinical Chemistry

      巻: 59 ページ: 1604-1612

    • DOI

      10.1373/clinchem.2013.210401

    • 査読あり
  • [学会発表] Cdkal1 欠損マウスにおける抗糖尿病治療薬効果の検討2014

    • 著者名/発表者名
      渡部 佐耶加、魏 范研、貝塚 拓、富澤 一仁
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島県鹿児島市郡元
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] チオメチル化修飾欠損によるタンパク質誤翻訳への効果的な化合物のスクリーニング系の開発2014

    • 著者名/発表者名
      田尻 崇晃、魏 范研、貝塚 拓、富澤 一仁
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島県鹿児島市郡元
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] X 染色体連鎖性精神遅滞の分子機構解明に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      永芳 友、魏 范研、貝塚 拓、富澤 一仁
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島県鹿児島市郡元
    • 年月日
      20140316-20140318

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公開日: 2015-05-28  

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