研究課題/領域番号 |
25860755
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
坂井 謙斗 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (30646352)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中性脂質 / 水解酵素 / TGH2 / 糖尿病 / 肥満 |
研究概要 |
2 型糖尿病発症の原因として、中性脂質トリグリセリド (TG) から遊離する脂肪酸によりインスリン感受性が低下することがあげられる。したがって、TG 分解酵素は糖尿病の発症に関係している事が考えられ、細胞および生体レベルでの解析は重要な研究課題である。当研究室では、その酵素の 1 つとして TG 加水分解酵素 2 (TGH2) を報告した。本研究では、TGH2 の生体内での役割および糖尿病との関連を明らかにすることを目的としている。 前年度は、TGH2 欠損マウスを用いた in vivo 解析を行った。糖尿病病態に関連する試験として、耐糖能試験 (GTT) およびインスリン感受性試験 (ITT) をそれぞれ行った。TGH2 欠損マウス群は、野生型マウス群と比較し耐糖能の悪化を示した。一方、インスリン感受性においては差は認められなかった。つづいて、高脂肪食負荷により誘導される肥満に対する影響を評価するために、体重の変化を測定した。TGH2 欠損マウス群の体重は、野生型マウス群と比較し、HFD 負荷 4 週目以降、有為に増加した 。また、HFD 負荷後における GTT および ITT の結果、耐糖能はより顕著な悪化を示し、インスリン感受性においても悪化を認めた。 これらの結果から、普通食飼育下の TGH2 欠損マウスはインスリンの合成もしくは分泌などの代謝に異常を来していることが示唆された。また、HFD 飼育条件下では、肥満症状を示し、それに伴うインスリン感受性の異常も認められた。今後は、TGH2 の糖尿病および肥満の発症メカニズムについて解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、TGH2 欠損マウスを用いることで、TGH2 が糖尿病および肥満の発症に関与していることを見いだした。今後は、in vivo 解析と併せて、in vitro 解析を行う事で、その詳細なメカニズムを明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
TGH2 がインスリン代謝および肥満症状に関与していることが示唆されたことから、引き続き TGH2 欠損マウスを用いてそのメカニズムを明らかにする。インスリン代謝における解析は、in vitro 解析を中心に行う。すなわち、膵臓のランゲルハンス氏島を単離し、1) RT-PCR 法およびウェスタンブロッティング法を用いた TGH2 の発現の確認、2) グルコース刺激によるインスリン分泌量の測定、3) whole-cell 膜電位固定法、などを行う。肥満病態における解析は、in vivo および vitro 解析を行う。すなわち、in vivo 解析として 1) 摂食量の測定、2) 呼吸商などのエネルギー代謝の解析を行う。また、in vitro 解析として 3) 熱産生に関与する UCP-1 などの発現量を RT-PCR 法を用いて評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、購入を予定していた機器の代替え品を当大学内で見つけ、購入を中止したため。 本研究では、インスリンやアディポネクチンなどの測定に高価な ELISA kit の購入が必要であるため、その購入に使用する予定である。
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