研究課題
若手研究(B)
2 型糖尿病の発症あるいは重篤化には、膵島の老化や血糖や血中遊離脂肪酸による膵島障害による膵島ホメオスタシス機能の低下が寄与すると考えられている。本研究では、膵島の高次細胞凝集塊としての微小環境(膵島ニッチ)の重要性に着目し、各膵島構成細胞、特に血糖調節に重要なα 細胞及びβ 細胞が膵島ニッチとして、どのような障害シグナルネットワークを形成するのかを膵島の老化に伴う細胞相互間作用の変化に着目して、主に培養細胞を用いて解析を行っていく。今年度の主要な研究計画は蛍光タンパク質標識による細胞起源追尾可能な外来遺伝子テトラサイクリン制御型β細胞株の樹立を完了し、各種解析を開始することであった。しかしながら、移籍に伴う研究環境の変化により、保有機器との整合性を確認した結果、使用する蛍光タンパク質の変更が必要となった。まず、所属研究機関の設備仕様に適合すると判断されたmEGFP、mVenus、E2-crimson、tdTomatoといった蛍光タンパク質をコードするプラスミドベクターを収集した。また、安定的な追尾を可能にするために必要なクロマチンインスレーター配列IS2を人工遺伝子合成受託によって取得した。現在これらのソースを用いてプラスミドベクターの作成をほぼ終えた。また現在、膵島様高次構造形成条件の最適化も行っており、細胞外マトリックスコートデッシュ、リン脂質コートディッシュ、浮遊細胞用ディッシュ等を用いて本研究への適正を評価中である。
3: やや遅れている
移籍に伴う研究環境の変化により、当初の計画書に記載の使用予定蛍光タンパク質が使用不適となり、ベクター設計の再考を余儀なくされたため、研究材料の収集等に時間がかかった。
所属移籍に伴う軌道修正は完了したので、今年度は計画通り蛍光タンパク質標識による細胞起源追尾可能な外来遺伝子テトラサイクリン制御型β細胞株の樹立と共に、培養細胞の糖尿病環境の模倣条件や膵島様構造形成の最適化等を行っていく。
所属移籍に伴う研究計画の変更に伴い、研究の進捗が若干遅れているため、執行額が当初より少なくなった。残額と本年度の助成金は予定通り、そのほとんどを研究用試薬、器具代に使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 446 ページ: 91-97
10.1016/j.bbrc.2014.02.059.