研究課題/領域番号 |
25860759
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研究機関 | 公益財団法人佐々木研究所 |
研究代表者 |
沖田 直之 公益財団法人佐々木研究所, その他部局等, 研究員 (60453841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 膵島ニッチ / 膵島傷害 |
研究実績の概要 |
1)蛍光タンパク質標識による細胞起源追尾可能な外来遺伝子テトラサイクリン制御型β細胞株の樹立のためのプラスミドベクター作成:mEGFP、mVenus、E2-crimson、tdTomatoといった蛍光タンパク質のcDNA及び、安定的な追尾を可能にするために必要なクロマチンインスレーター配列を遺伝子工学的手法を用いて種々のプラスミドベクターを作成した。
2)培地中添加物のコントロールによるβ細胞株の糖尿病様病態の模倣:マウスβ細胞株MIN6亜株において、低グルコース状態に比して高グルコース状態下での細胞内Insulinの減少、及びそれに伴うProinsluin/Insulin比(P/I比)の減少、さらに培地中へのグルコース刺激性インスリン分泌の低下といった生理応答を確認した。このことは、MIN6亜株がin vitroにおける適切なストレス感受性を有していること及び適切な培養条件の設定によって、in vitroにおいてβ細胞に対する糖尿病病態の模倣が可能である可能性を示唆する結果である。今後はInsulinだけでなく周辺関連因子の動向も解析する必要がある。
3)InsulinのWestern blottingの感度改善:Proinsulinと比較してInsulinのWBの感度が悪いことがこれまでの実験から判明しており、適切なProinsulin/Insulinの評価の妨げとなっていたので、原因の究明とプロトコールの変更による改善を試みた。結果、適切な改変プロトコールを作成することに成功したので、現在、当該技術に関する用途特許の仮出願及び、学術論文の投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は当初最終年度の予定であり、計画通り安定発現細胞の樹立を行い、各種解析を行っていく予定であった。しかし、使用している株化細胞の糖尿病様の表現型を示す培養条件を最適化していく過程において、通常学術論文等で推奨されてきた培養条件が適さないことが判明し、最適条件の設定を行う必要があった。本年度末までに最適条件を見い出し、いくつかの科学的根拠も収集できた。さらに、その過程で派生した重要な科学的発見についての検討を行い、当該テーマに関しての特許及び学術論文の投稿の目処に結びつけた。以上の理由より、1年間の延長申請を行い、承認された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の申請計画通り、培地添加物のコントロールによるβ細胞株の糖尿病様病態を多面的に評価するとともに、tetracyclin制御性安定発現細胞株の樹立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費申請課題の研究の過程で派生した科学的発見についての検討を行ったため、年度途中より当該実験の遂行に注力し、当該実験の遂行には、所属機関からの基盤研究費を使用した。以上の理由より、1年間の研究機関延長申請を行い、次年度に当初の計画を再開することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、消耗品費に充てる予定である。研究の進捗状況次第で学会発表費用にも使用する。
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