研究課題/領域番号 |
25860760
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
堤 千春 大阪医科大学, 医学部, 助教 (90636078)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 劇症1型糖尿病 / PD-1 / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究の目的は、T細胞活性化制御に関与する重要な分子であるPD-1に着目し、劇症1型糖尿病における1)PD-1およびそのリガンドであるPD-L1, PD-L2の遺伝子多型解析、2) 末梢血CD4陽性T細胞におけるPD-1発現の量的検討、を通じて、PD-1系を中心とした遺伝子の関与とPD-1の異常に基づく免疫抑制の破綻を介した劇症1型糖尿病の発症機序を明らかにすることである。 1)PD-1,PD-L1, PD-L2の遺伝子多型解析 本年度はPD-1遺伝子多型(10 SNPs)について、タイピングを実施した。一部のPD-1遺伝子多型(第5エクソン領域)のTT多型が劇症1型糖尿病と比較して自己免疫性1型糖尿病で有意に低下していることが確認された。また、PD-L1およびPD-L2遺伝子多型(30 SNPs)について、タイピングを実施した。現在、関連解析を施行中である。 2)CD4陽性T細胞内でのPD-1発現の量的検討 劇症1型糖尿病患者末梢血中のCD4陽性Tリンパ球におけるPD-1陽性細胞率は、健常対照者との比較では有意差を認めず、自己免疫性1型糖尿病患者において、有意に低下していることを明らかにした。しかし、劇症1型糖尿病および自己免疫性1型糖尿病患者末梢血中のCD4陽性Tリンパ球におけるPD-1陽性細胞率とSNP解析し得た一部のPD-1遺伝子多型との有意な関連は認めなかった。以上の結果より、CD4陽性Tリンパ球におけるPD-1発現調節機構に、少なくとも現在までの検討では、上述のPD-1遺伝子多型は関与していないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、1)PD-1およびそのリガンドであるPD-L1, PD-L2の遺伝子多型解析のうち、SNPタイピングがほぼ終了した。一方、平成26年度の計画では2-1)末梢血におけるCD4+PD-1+ T細胞数の横断的・経時的検討 2-2)末梢血CD4+T細胞におけるPD-1 mRNA発現レベルを検討する予定であった。このうち、2-1)および2-2)については解析が順調に進展し、その一部は第56回日本糖尿病学会およびImmunology of Diabetes Societyの13th Meetingで報告した。
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今後の研究の推進方策 |
1) PD-1およびそのリガンドであるPD-L1, PD-L2の遺伝子多型解析 について、今年度までのタイピング結果に基づき、関連解析を実施する。有意なSNPが得られれば、ハプロタイプ頻度の推定を行い、より強い相関を示す領域を同定する。さらに、次世代シーケンサーを用いて全ゲノムシーケンス解析を実施し、劇症1型糖尿病の新たな疾患感受性遺伝子の同定をめざす。
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