本研究では、T細胞活性化制御に関与する重要な分子であるPD-1に着目し、遺伝学的・免疫学的観点より劇症1型糖尿病(FT1D)の発症機構の解明を試みた。PD-1遺伝子多型(7785C/T)は、自己免疫性1型糖尿病(T1AD)との関与が示唆されたが、FT1Dとの関連は認めなかった。一方、末梢血CD4陽性T細胞のPD-1陽性率は、T1ADで低値であったが、FT1Dでは低値ではないこと、PD-1mRNA発現量は、T1ADにおいて低値であることを明らかにした。T1ADおいては、PD-1の発現低下がT細胞の活性化を介して、膵β細胞破壊を惹起する可能性が示唆された。
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