研究実績の概要 |
副腎髄質のモデルとして、神経芽細胞腫由来のSK-N-BE細胞を用い、Δ5ステロイドの作用について、in vitroで検討をした。 その結果、細胞増殖については、Δ5-17OHPが有意に10-20%上昇をさせ、一方DHEAは40-50%有意に増殖を抑制した。これらは、Δ5ステロイドが神経系細胞の分化増殖になんらかの影響を与えることを示唆しているが、一方その効果はΔ5ステロイドの種類によって変動することが示された。 次に神経細胞分化のマーカーとされる複数の遺伝子(TAU, MAP2, DRD, Laminin, Synaptophysin, Nestin, Neurogenin, B3-Tublin) についての発現レベルの変動をRT-PCR法で定量解析を行った。その結果、Δ5-17OHPによりNestin、B3-Tublin、Laminin、Synaptophysinが上昇、またDHEAにより、TAU、Laminin、Nestin、Neurogeninが上昇していた。 これらのデータは、Δ5ステロイドが分子発現レベルで多彩な制御を神経系細胞に対して行っていることを示唆している。特にDHEAの神経系細胞増殖抑制作用は、生体内における21-水酸化酵素欠損症での副腎髄質発生障害の主な要因の一つになると考えられる。 今後は21-水酸化酵素欠損症の病態を解明すべく、より病態に則した形でのin vitro, in vivoでの見当を行って行きたい。
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