研究課題
本研究では、下垂体腫瘍の発生・進展機序の解明を目指す基礎研究を行い、この結果を発展させ臨床応用できる薬剤開発を視野に入れ、有効な下垂体腫瘍の内科的治療法の進化を目指す。平成26年度の研究では、時計遺伝子の発現と下垂体ホルモン分泌制御について検討した。まず、マウスコルチコトロープ細胞AtT20におけるPOMCと時計遺伝子の関連をRT-PCRにて検討したところ、POMCとPerの発現レベルに正の相関を認めた。この結果を踏まえ、siRNAでPerを抑制すると、CRH刺激の有無に関わらずPOMC発現が抑制された。メラトニンを添加するとBMP-4処理の場合と同様に、CRH刺激の有無に関わらずPOMCおよびPerの発現が抑制された。一方、ラットラクトソマトトロープ細胞GH3ではPRLとBmal, Clockの発現レベルに相関を認めたが、PRL分泌を促すFSKの存在下でこの相関は減弱した。siRNAでClockを抑制するとPRL発現は減弱したが、Bmalの抑制下ではPRL発現に影響を与えなかった。FSK・BMP-4およびメラトニン処理によりBmalの発現は増加したが、Clock発現には変化を認めなかった。以上より、コルチコトロープACTH産生にはPerが関与し、メラトニンやBMP-4はPerとPOMCの発現を共に抑制するが、ラクトトロープPRL産生はClockとの関連が強く、これはメラトニンやBMP-4の影響を受けない。このように、メラトニンがBMP-4や時計遺伝子と協調し、日内変動を持つACTHやPRLの調節に寄与していることが示唆された。
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