研究課題/領域番号 |
25860777
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
鵜生川 久美 秋田大学, 医学部, 助教 (70646554)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 赤芽球 / 脱核 / 中心体 / 赤血球造血 |
研究概要 |
本研究では、「赤芽球の核の偏在化(細胞極性化)は中心体により誘導されて脱核する」との仮説をたてた。平成25年度は、中心体の合成・機能に関与する分子の阻害剤を用いた中心体と核の挙動を解析し、脱核に関わる中心体関連分子の同定を行った。 1 中心体の局在の変化 赤芽球培養7日目(Day7: CFU-E)にγ-tubulinを中心体マーカにして観察すると、2個の中心体が核周囲に局在している細胞が多かった。また、脱核直前のDay12でも同様に核周囲に局在していた細胞数が多かったが、細胞膜近縁や細胞質に局在した例もあった。今後、経時的な変化をγ-tubulinとセントリンとの組み合わせで解析し、中心体局在の変化を明らかにする予定である。 2 CFU-Eでは、蛋白質脱リン酸化酵素であるPP2Aを阻害して中心体複製を阻害するcalculin A、核局在を担うPI3Kを阻害するLY294002及びダイニンの阻害剤EHNA はどれも細胞質分裂をしたが、脱核を阻害しなかった。同様に、Aurora A(中心体の成熟や中心体分離など)の阻害剤MLN8237及びAurora B(染色体の形成・分配、細胞質分裂など)を阻害するAZD1152-HQPAとhesperadinは、細胞分裂を阻害したが脱核は阻害しなかった。この結果は、脱核前には情報伝達系自体が機能を停止していることを示唆しており、そのメカニズム解明と脱核の関連に興味が持たれる。 3 Day11の赤芽球に上記の阻害剤を添加して核の局在を観察すると、ダイニン及びPI3Kの阻害により核の偏在がなくなり(中心部に留まり)脱核しなかった。脱核には核の偏在が必要であり、その情報伝達系にはPI3K、運動系にはダイニンが関与していることが示唆された。次年度は、siRNAによるノックダウン及びPI3Kの下流の伝達系の阻害により、更に詳細な検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画にて予定していた中心体の数や局在の変化について、γ-tubulinをマーカーとして共焦点顕微鏡で明らかにすることができた。予定していた中心体を阻害する各阻害剤を用い、CFU-Eおよび成熟赤芽球に与える影響を検討し、ダイニンおよびPI3Kが脱核関連分子として同定できた。 以上から、本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
中心体の脱核に置ける挙動を核の動きと共に動画撮影を行う。必要な設備は整備されている。分子生物学的手法を駆使して、核局在化責任分子を同定する。また、上記に述べた課題について鋭意推進し、脱核に置ける細胞極性形成を中心体の挙動から解明する。
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