哺乳類赤芽球は、細胞質分裂類似の過程で脱核する。中心体に代表される微小管形成中心(MTOC)は、適切な細胞質分裂のために不可欠な、染色体分離装置である紡錘体を形成する。しかし、MTOCの脱核における役割は明らかではない。本研究では、細胞質分裂と脱核に対する様々なMTOC阻害剤の効果を、純化ヒトCD34陽性細胞から分化誘導した後期赤芽球系前駆細胞と成熟赤芽球を用いて検討した。その結果、核をMTOC側へ動かすモーター蛋白ダイニンの阻害剤が、脱核前に起こる核の偏在化を阻害して脱核を抑制することを示し、細胞質分裂だけでなく脱核にもダイニンが重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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