研究課題/領域番号 |
25860778
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 貴康 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20646591)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Notchシグナル / 急性骨髄性白血病 |
研究概要 |
これまでの研究からNotch-Hes1経路は急性骨髄性白血病に対して腫瘍抑制的に働くと考えられる。今回の研究では、Notch-Hes1経路の急性骨髄性白血病抑制機構についてマウス白血病モデルを用いて明らかにする事を目的とした。またマウスで得られた知見をヒト白血病で確認するのと同時に、Notch シグナルの亢進による腫瘍抑制効果を期待した治療法の開発を目指している。平成25年度には下記の成果を得ることができた。 #1 Notch-Hes1経路によるMLLAF9 急性骨髄性白血病抑制機構の解明:野生型およびHes1欠損型の白血病マウスモデルの骨髄を用い、マイクロアレイ法にてHes1の下流シグナルを同定した。下流候補遺伝子に対してHes1が直接的に発現を制御している事を明らかにした。またHes1欠損MLLAF9 白血病マウスモデルにHes1を導入すると白血病が抑制されることを明らかにした。 #2 白血病幹細胞の同定、治療モデルの作製:マイクロアレイの結果を参考にHes1欠損白血病マウス骨髄から白血病幹細胞と想定される分画をソートし、限界希釈法を用いた継代移植を行い白血病幹細胞を同定した。 #3 ヒト急性骨髄性白血病検体におけるNotch-Hes1経路の発現レベルと予後の解析:マウスで得られた知見がヒト急性骨髄性白血病検体で実際に重要であるかにつき検討を行った。既存のデータベースよりマウスで得られたHes1の下流遺伝子の発現が、ヒト検体でもマウスと同様にNotch-Hes1経路と相関がある事を明らかにした。 今後はNotch-Hes1制御による白血病の治療戦略を構築することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MLLAF9白血病マウスモデルを中心にNotch-Hes1経路の腫瘍抑制機構につき詳細な知見を得る事ができた。またマウスで得られた知見をヒトでも明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の研究ではMLL白血病においてNotch-Hes1経路のターゲットになり得る遺伝子を同定した。Hes1欠損MLLAF9急性骨髄性白血病マウスにターゲット遺伝子の阻害剤等を投与し、治療効果を検討する。また様々な白血病モデルに対してNotch抗体を投与することで、腫瘍抑制効果が得られるか検討する。さらに日本成人白血病研究グループ(JALSG)より供与されたヒト急性骨髄性白血病検体の使用し、NotchシグナルとHes1下流候補遺伝子の発現レベルと予後につき解析を予定している。
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