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2013 年度 実施状況報告書

低リスクMDSのメチル化阻害剤の有効性と相関する遺伝子異常の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25860781
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

南谷 泰仁  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60451811)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード耐性化メカニズム / 骨髄異形成症候群 / アザシチジン
研究概要

骨髄異形成症候群(MDS)の治療法として近年Azacitidine療法が選択肢として挙げられるようになった。しかしその治療効果は永続的ではなく、有効性が証明されている高リスクMDSの場合では、治療開始後、約1年で大多数の症例が治療抵抗性となることが知られている。抵抗性となった症例には、azacitidineへの耐性を有するクローンの出現が認められる。そこで我々はAzacitidine療法中に耐性を獲得する機序の解明を目的とした。
当院でMDSに対してAzacitidine療法を施行され、奏効が得られた後に、病勢増悪もしくは急性白血病への進展が認められた患者を対象とした。これらの症例を治療前、奏効中、病勢増悪後の時点での検体を収集し、Ion Torrent社のIon Protonで全エクソームシークエンスを施行した。コントロール検体としては骨髄血中のT細胞を使用した。
その結果、病勢増悪後に新規出現もしくは増加傾向を認める遺伝子異常を確認した。その結果、Azacitidine療法の経過で増加傾向を示す遺伝子が各々5,000-10,000個認められた。さらにコントロール検体の全エクソームシークエンスの結果から絞り込みを行い、variant allele frequency(VAF) 30%以上の新出変異もしくは増加傾向を示す遺伝子97個、VAF 20%以上の新出変異遺伝子87個を抽出した。これらをサンガ-シークエンスによりValidationし、計14個の新規出現もしくは増加傾向を示す遺伝子異常を同定した。
同時に、低リスク群のMDS症例を対象としたAzacitidine療法の有効性を検証する他施設臨床試験の倫理申請およびゲノム倫理申請をおこない、承認を得て開始した。これによって、多数の検体の使用を集積し、抵抗性メカニズムの全体像を把握する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度の計画のうち、Azacitidine療法によって治療抵抗性となった症例のwhole exome sequencingを4症例に対して施行し、サンガ-シークエンスにより確認をおこない、計14個の新規出現もしくは増加傾向を示す遺伝子異常を同定することが出来た。
また、低リスク群のMDS症例を対象としたAzacitidine療法の有効性を検証する全国臨床試験は倫理申請およびゲノム倫理申請をおこない、承認を得て開始することが出来た。しかし、他施設での倫理承認および実際の症例登録が進むする必要があり、そのため他施設からの検体収集がやや遅れている。本年度は当施設で治療を行った症例を用いて検証を行った。そのため、本年度は臨床研究の症例の登録と検体の蓄積を進め、数を増やすことで遅れている部分を取り戻すことが必要と考える。

今後の研究の推進方策

今後、本研究は以下のような点を主に進めていく。
・抵抗性メカニズムの全体像の把握: 開始した臨床研究を推進し、症例の登録と検体の蓄積を進めることで、抵抗性メカニズムの全体像を把握し、より多くの症例で重複してみられる抵抗性メカニズムを優先的に検証する。
・抵抗性メカニズムと考えられる異常の細胞株での再現: これまでの方法で同定された遺伝子異常は、造血不全に関与している可能性が高いと考えられる。そこで、細胞に上記で同定された遺伝子異常を導入して、表現型の再現性が見られるかを確認する。具体的には、ヒト造血器系細胞株もしくはマウス骨髄細胞を用いて、強制発現、shRNAによる発現抑制、変異遺伝子の導入など、同定された異常に応じた手法を用いる。
・遺伝子異常の是正による表現型の変化の確認: MDSの細胞株から同定された異常を有するものを用いて、異常を是正することで、表現型の変化が見られるかを確認する。具体的には、同定された異常が遺伝子発現の低下の場合には強制発現を、発現上昇の場合にはshRNAによる抑制を行う。観察するパラメータはサイトカインによる分化刺激への反応性や、形態異常など異形成の改善とする。

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公開日: 2015-05-28  

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