DNAメチル化阻害剤であるアザシチジンは骨髄異形成症候群におけるkey drugであるが有効例においてもその持続期間が約1年と短く、疾患再然と関与する遺伝子の同定は耐性化メカニズムの解明を通じて、耐性成立の克服・投与患者の選別に役立ち、治療成績の向上につながるものである。 我々は、アザシチジン治療が奏効した後に再燃した4症例を対象として、治療前とアザシチジン治療後不応性となった際の腫瘍細胞のゲノムを全エクソームシークエンシングにて比較した。診断時と再然時の変異の差を検討することでMDSの発症ではなく治療不応性に関与する遺伝子に特化した点が特徴である。シークエンスで確認できた変異に対してはSNPsの除去やアザシチジン投与前後の変異頻度の比較を行い、397遺伝子(456箇所)の変異が抽出され、更に機能や配列に基づく選別によって28遺伝子に絞り込みを行った。これらの遺伝子はdeep sequencingにて、確認を行った。その結果、7つの遺伝子が抽出された。同時に、shRNAライブラリを骨髄異形成症候群由来細胞株であるMOLM13に感染させ、アザシチジン添加後に生存する耐性細胞にtransfectしたshRNAを同定することで、耐性化細胞において発現が低下する遺伝子群を検討した。2回のアザシチジン添加実験でそれぞれ253個、44個の遺伝子が候補として挙がり、2つの遺伝子群の共通項として、7つの遺伝子を抽出することが出来た。上記で挙げられた計14個の候補遺伝子についてクローニングおよびshRNA construct作製を行い、in vitroで骨髄系腫瘍の細胞株を用いたアザシチジン耐性化を確認中である。
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