研究概要 |
Evi1高発現ヒト白血病細胞株MOLM-1, HNT34を用いて、核内タンパク質を抽出し、Evi1抗体を用いたRNA免疫沈降を行った。Evi1とlncRNA HOTAIRの結合を確認することはできたが、既知のEZH2とHOTAIRなどのlncRNAの結合について再現を得ることが出来ていない。現在もRNA免疫沈降実験系の確立中である。一方、公開されているマイクロアレイデータGSE51757の解析により、われわれは、造血器腫瘍細胞で正常造血細胞と発現量が8倍程度異なっているlncRNAの候補を11個ピックアップした。また、Evi1をレトロウイルスでマウス造血細胞に導入して移植するEvi1白血病モデル実験で得られたマウス白血病細胞の解析により、Evi1白血病マウス骨髄の幼若なLineage(-)cKit(+)分画で、11個のlincRNAのうちいくつかが同様の発現量の変化を起こしていることを見出した。このような発現量変化の大きいlncRNAは腫瘍の分子病態に関与している可能性が高く、Evi1高発現白血病においても、Evi1とこのようなlincRNAが結合して特定の標的プロモーターに結合することが、病態に重要であることが考えられる。今後は他のEvi1高発現細胞株も用いてRNA免疫沈降の系を確立した上で、Evi1に結合するlncRNAを同定し、ノックダウン実験や導入実験、移植実験を併用して解析を進めていく。
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