白血球・赤血球・血小板を蛍光蛋白(Kusabira-orange)でマークしたマウスを用い、造血幹細胞画分(CD150+CD41-CD34-c-Kit+Sca-1+Lineage- cells)の単一細胞移植、さらに半年経過観察後そのレシピエント骨髄を用い連続骨髄移植を行った。その連続移植の際に、造血幹細胞画分をフローサイトメトリーにより採取し、RNAを採取し網羅的遺伝子発現解析を行った。この連続移植・遺伝子解析を繰り返すことにより、造血幹細胞の長期骨髄再構築能に関与する遺伝子を見つけることができると期待でき、実際、その中には、老化、細胞周期などに関与すると考えられている遺伝子が多数、濃縮されていた。さらに遺伝子候補を絞るために、別の連続移植マウスを用い同様の解析を行い、候補遺伝子のメカニズム解析を行う予定である。 また、1個の細胞を分取培養し36-42時間後にその細胞が1回分裂した後、2個の娘細胞をmicromanipulatorにより、1個ずつに分けるという、paired-daughter cellアッセイにより連続移植実験を行った。前述の系と同様に遺伝子発現解析の比較を行った。この比較により複数の遺伝子が自己複製に関与する候補として抽出されてきており、さらなる候補の絞り込み・解析を予定している。 本研究により、造血幹細胞の長期骨髄再建・自己複製に関与する遺伝子を同定することができれば、人の骨髄移植の治療成績の向上などが期待される。
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