我々は、ヒト多能性幹細胞由来の造血幹細胞をヒツジの体内で作製することを目指している。これが出来れば、動物は、ヒト成体・ヒト臍帯血に次ぐ、造血幹細胞の第三のソースになり、現在のドナー不足の解決につながるであろう。以前我々は、サルES細胞を体外で中胚葉系に分化させた後、ヒツジ胎仔の肝臓内(胎仔期の造血器官)に移植する方法で、2年にわたって骨髄内にサル造血細胞をもつヒツジを作出できることを報告した。本研究では、ヒツジ体内で多能性幹細胞由来の造血幹細胞を効率的に作製するために、ヒトリンパ球を用いて、ヒツジ造血系の抑制およびヒツジ骨髄内のヒト造血生着率の促進法を開発した。
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