研究課題
若手研究(B)
本年度は、申請者らが見出した未分化なCML細胞特異的に発現する分子(CD120a, CD225, CD294, CD320)を用いたMRDの検出、および特異抗原の生理作用について検討を行った。計13例のCML症例における骨髄有核細胞中のCD34+38-かつCD225+120a+細胞の頻度を継時的に解析した。経過を追えた症例は少数ではあるが、いずれの症例においても治療に伴いその頻度は減少すること、ある一定の頻度を保ったまま推移する症例があること、また臨床上同じ分子遺伝学的寛解を得ている症例においても、確実に細胞集団として検出できる症例と、できない症例があることが明らかとなった。今後より多くの症例で同様の検討を行う必要はあるが、このようなkineticsを通して、CML特異抗原の発現がTKIに対する長期的な反応を予測できるマーカーとなる可能性が示唆された。CD120aは、TNFα,β受容体として知られているが、CML幹細胞における作用については明らかではない。初発時に採取したCD34+38-かつCD225+120a+細胞、CD225-120a-細胞をin vitroにおいてTNFαで刺激した場合、CD225+120a+細胞において有意にNF-κBの活性化が誘導された。プロテアソーム阻害剤添加によりNF-κB活性を抑制すると、CD225+120a+細胞に著明な細胞死が誘導されたことから、未分化なCML細胞では、TNFα/CD120a- NF-κBを介した生存シグナルが機能していると推測された。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の計画として、我々の同定した未分化CML細胞特異抗原がCML幹細胞マーカーとして有用であるかについての解析を予定していた。多数例での検討によりその有用性が確認できたとともに、生理作用についても新たな知見を見出すことができた。ほぼ計画通りに研究を遂行できていると考えられる。
平成26年度以降は、未分化CML細胞特異抗原を標的とした新規治療薬の開発を中心に解析を行う。具体的には、各CML特異抗原に対する中和抗体を作成し、CML治癒を目指す治療薬として有効であるかどうかをマウスの移植実験にて解析する。具体的には、マウス骨髄細胞に BCR-ABLを遺伝子導入し、放射線照射した同系マウスに移植し、CML モデルマウスを作成する。このマウスにTKI、中和抗体それぞれ単独、あるいは両者を組み合わせて投与した場合の白血病発症に及ぼす影響について解析する。
本年度分は、主に試薬の購入に充当する費用として算出していたが、予定よりも少額に収まった為、次年度に繰り越すこととした。次年度以降の試薬、実験動物等の購入費用として使用する予定である。
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Australas J Dermatol.
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