研究課題
<平成26年度の研究成果>前年度はIL-27刺激下で培養したナイーブCD4陽性T細胞が抗体産生抑制能を持つことを、in vitroの実験系で証明し、更にCD4陽性CD25陰性LAG3陽性 新規制御性T細胞(以下LAG3 Treg)分化に関わる詳細なシグナル伝達機構を明らかにした。平成26年度は、in vivoの実験系でIL-27誘導性Egr2高発現CD4陽性T細胞の抗体産生抑制活性の解析を行った。先ず、Rag1ノックアウトマウスにC57BL/6マウス由来のB細胞とOVA(ovalbumin)特異的T細胞受容体を持つOT-IIマウス由来T細胞を共移入し、そこにIL-27刺激下ないし非刺激下で培養したナイーブCD4陽性T細胞を移入した。同マウスをOVAで免疫することにより特異抗体が産生されるが、IL-27誘導性ナイーブCD4陽性T細胞を移入したマウスでは、抗体産生が有意に抑制された。また、最近申請者らはLAG3 TregによるB細胞の抗体産生抑制はTGF-β3産生を介していることを見出したが、IL-27誘導性ナイーブCD4陽性T細胞がTGF-β3を産生することを、mRNAおよびタンパクレベルで確認した。更に、in vivoの系で示したIL-27誘導性ナイーブCD4陽性T細胞の抗体産生抑制能がTGF-β3に依ることを、抗TGF-β3阻害抗体を用いて証明した。<研究期間全体を通じて実施した研究の成果>T細胞特異的Egr2遺伝子欠損マウスはSLE様病態を呈することが知られているが、理化学研究所と当研究室との共同研究にて、EGR2がヒトのSLEの疾患感受性遺伝子であることを報告している。本研究を通じて申請者は、IL-27誘導性Egr2高発現CD4陽性T細胞がin vitroおよびin vivoで抗体産生抑制能を持つことを示した。更に新たな制御性サイトカインであるTGF-β3の産生能も有していることも明らかにした。IL-27誘導性Egr2高発現CD4陽性T細胞によるTGF-β3を介した自己抗体産生制御機構に関する知見は論文として発表した(Nat Communications. 2015 Feb 19;6:6329)。これらの知見はSLEの新規治療開発の礎となる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
Nature Communications
巻: 6 ページ: 6329
10.1038/ncomms7329
International Journal of Molecular Sciences
巻: 16 ページ: 2851-2863
10.3390/ijms16022851