研究課題
全身性自己免疫疾患の患者では自己抗体が産生され、組織傷害を引き起こす。このような自己抗体の多くは自己抗原に対する高親和性を持つIgGクラスの抗体である。腹腔B1a細胞は自己抗原との交叉反応性を持つIgMクラスの自然抗体を産生すること、自己免疫疾患モデルマウスで異常増殖が認められることから、高親和性自己抗体産生細胞の前駆細胞であると考えられている。B1a細胞が高親和性自己抗体産生細胞に分化するためには、B1a細胞の活性化、異常増殖、抗原受容体の高親和性の獲得、クラススイッチが必要であり、腹腔内や二次リンパ組織等の微小環境におけるマクロファージ等との相互作用が重要な役割を担っていると考えられるが、その詳細は明らかとなっていない。本計画内で、申請者はB1a細胞は胚中心環境下で増殖し、IgGへのクラススイッチや抗体産生細胞へと分化することを示した。セリン・スレオニン脱リン酸化酵素PP2Aの制御性サブユニットであるG5PRは抗体産生細胞への分化を制御し、その過剰発現はB1a細胞からのIgGクラスの自己抗体産生を誘導することを明らかにした。一方、抑制性Fc受容体を欠損した腹腔マクロファージは免疫複合体存在下でのサイトカイン産生の増大が認められた。腹腔内環境下でのマクロファージからのサイトカイン異常産生がB1a細胞の活性化のトリガーとなり、自己抗体産生細胞への分化を促すと考えられるが、この過程でG5PRは促進的に、FcgRIIBは抑制的に働くことが示唆された。この成果の一部はThe Journal of Immunologyに投稿し、受理された。また、第43回日本免疫学会にてポスター発表した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
The Journal of Immunology
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Virology
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