IL-25・IL-33を用いた自然免疫による好酸球性気道炎症モデルの解析によって、12/15-リポキシゲナーゼ(以下、12/15-LOX)の好酸球性気道炎症に対する保護的作用が見出された。上記のモデルにおいて、好酸球を誘導するサイトカインであるIL-5の主要な産生細胞はtype2 innate lymphoid cells(以下、ILC2)であることを確認し、12/15-LOX欠損マウスではその細胞数が増加していた。マウスの気道炎症惹起時の肺の網羅的脂質解析により、特にプロテクチンD1に代表されるDHA由来の12/15-LOX代謝物がアラキドン酸・DHA等の不飽和脂肪酸由来の代謝物の中でも多く産生され、遺伝子欠損動物において産生量が減少していることを確認した。これら代謝物のILC2に対する直接作用を検討したところ、いくつかの代謝物が顕著な増殖抑制作用・アポトーシス誘導作用があることが示された。 ヒト末梢血由来好酸球の刺激上清を用いて、システイニルロイコトリエン等の代表的な代謝産物を含めた5-LOX・12-LOX・15-LOX・COX代謝物の網羅的脂質解析を用いて、特異的なシグナル伝達、タンパクのリン酸化が脂質代謝に及ぼす影響を確認した。プロテオーム解析により、脂質代謝酵素の中でも15-LOXが豊富に存在し、検出されることを確認した。サイトカイン等の生理的な分子が脂質代謝に与える影響の予備的検討結果も出ており、今後詳細な機序について検討を行う予定である。
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