研究課題
若手研究(B)
強皮症患者抹消血単核球細胞を採取し、抽出した核たんぱく質を抗原たんぱく質としてもちいた。まず、患者由来たんぱく質(混合検体)と健常人由来たんぱく質(混合検体)を用いて、等電点電気泳動とSDS-PAGEにより二次元に分離し膜に転写した。抗トポイソメラーゼ抗体ならびに抗セントロメア抗体によりそれぞれウェスタンブロット(WB)を行い、検出たんぱく質の比較を行ったところ、一部のたんぱく質スポットで、ウェスタンブロット反応強度に差が認められた。また、検体個々の反応強度を比較するため、個々の検体を用い元WBを行い、検体数を増やし、健常群と疾患群にて比較した。現在、WBにて反応に差異が認められた部位のたんぱく質につき同定ならびに修飾解析を試みている。また同様に、健常人もしくは、強皮症患者より抽出したたんぱく質を抗原たんぱく質としSDS-PAGEにて分離、膜に転写したのち、抗トポイソメラーゼ抗体または抗セントロメア抗体陽性強皮症患者の血清をもちいて個々にWBを施行し、比較検討した。WBにより、健常群と強皮症群において反応の差異が認められたたんぱく質バンドが検出されたことから、差異の見られたたんぱく質について、現在、同定ならびに修飾解析を試みている。
3: やや遅れている
1回の血液検体より抽出できる核たんぱく質量が限られており、充分量の検体回収にはかなりの時間を要することや、患者血清中の特異的自己抗体ならびに血清より精製可能な自己抗体量が少量であることから、本研究で対象とするタンパク質の検出に時間を要している状態である。また、たんぱく質の2次元展開における分離においては、対象たんぱく質の分子量や電荷などの特性上、分離が大変難しい特性があるなどの理由が挙げられ、これらの課題を解決するべく検討実験を行っている。
健常人と患者群で違いの認められたタンパク抗原の修飾解析を行う予定である。たんぱく質量が微量であることから、対象たんぱく質であることを質量分析にて確認しつつ、修飾の違いにつき解析する。今後、免疫沈降法などを用いて対象たんぱく質のみを回収し、修飾解析を行う方針である。今後の課題として、たんぱく質回収、解析に問題が生じることも考えられるため、数種の修飾たんぱく質に対する抗体や修飾検出薬を用いて、健常群と強皮症群で、自己抗原における個々の修飾反応に差が見られるかについてを検証する方法を検討している。さらに今後、異常修飾を受けた、抗原タンパク質が病態に及ぼす影響を調べるため、異常修飾をうけた抗原タンパク質についての機能解析をおこなうこと、異常修飾タンパク質が抗原性を獲得するかについても検証したい。
今年度、抗原タンパク質の回収、電気泳動を用いたタンパク質展開と健常児と患者群との比較を主に行っている。回収できる抗原タンパク質に時間を要していること、また、現研究室では、主な機器が揃っていたことから、請求金額が予定を下回ったと考えられる。今後、引き続き、抗原タンパク質回収(検体の増加)、抗原タンパク質の修飾解析を予定していることから、質量分析器、修飾タンパク質検出などに関わる物品費、修飾解析後、培養細胞等を使用した抗原タンパク質の機能解析、抗原タンパク質の抗原性の獲得についての検証に関わる物品費などが必要になると考えている。
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